「遺跡おさんぽ」楽しんで 市教委が新たにリーフレット作成 195カ所を地図に表示 

▲ 市制施行70周年を記念して作成したリーフレット

 大船渡市教育委員会は、市制施行70周年を記念し、市内の国・県・市指定史跡を中心に場所や特徴をまとめたリーフレット「おおふなと遺跡おさんぽガイド」を作成した。195カ所に上る埋蔵文化財包蔵地を網羅したほか、主要史跡などへの案内と観光スポットも掲載。市教委では関連事業として、11月13日(日)には日頃市町の関谷洞窟住居跡で文化財巡りも開催する。(佐藤 壮)

 

11月に文化財巡りも

 

 市内の国指定史跡などを市内外に周知するとともに、「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界遺産登録で注目を浴びている縄文遺跡などについて、市民の理解と関心を深め、文化的な誇りやアイデンティティーにつなげようと企画。住宅建築など開発行為を行う際の埋蔵文化財保護の啓発も狙いとしている。
 リーフレットはA2判紙を折りたたみ、表面には比較的容易に見学できる主要遺跡について、時代や出土品などを伝える。国史跡では大洞(赤崎町)、蛸ノ浦(同)、下船渡(大船渡)の各貝塚、県史跡は関谷洞窟住居跡、市史跡では三陸町綾里の宮野貝塚を紹介している。
 このうち、大洞貝塚は三陸鉄道陸前赤崎駅から徒歩5分。居住域、墓域、海岸線などが発見され、縄文時代晩期としては最先端の漁技術を有していた「縄文漁師のムラ」として知られる。東北における同期につくられた土器は「大洞式」と呼ばれるなど全国的な指標になっているほか、多種多様な漁道具や装飾品が見つかった。
 現地には説明看板があるほか、なだらかな丘陵地に直接足を運ぶことで、周囲が山に囲まれて近くに川があり、比較的風が穏やかな地理的環境など、居住地として選ばれた背景が確認できる。同駅に併設している「大洞ふれあい交流館」には、解説展示もある。
 リーフレットではこのほか、東日本大震災後の越喜来小移転改築事業に伴う調査で明らかになった「小出館」の説明も。裏面は195カ所の遺跡を地図上にまとめ、さらに▽市内遺跡の特徴▽縄文時代の貝塚▽中世の山城▽江戸時代の一里塚──に関する解説や、市内の観光スポットも添えた。
 2000部作成し、市内小中学校や市立博物館などの公共施設、観光施設などに配布。市教委教育総務課文化財係の村田匠係長は「遺跡が近くにあっても、知らない人が多いのでは。大船渡にはさまざまな遺跡があることを発信したい」と話す。
 市教委は関連事業として、関谷洞窟住居跡での「文化財めぐり」を11月13日の午前9時からと同11時からそれぞれ開催。対象は小学5年生以上で、定員は各回10人。濡れたり汚れてもいい服装で参加を。ヘルメットと電灯は市で準備する。受け付けは同10日(木)まで。申し込み、問い合わせは同課(℡27・3111内線296)へ。