ワイナリー巡り楽しむ 気仙両市できょうまでワインツーリズムさんりく(別写真あり)
令和4年10月23日付 7面

全国の愛好者らが来場
三陸で生まれたワインと食の素晴らしさを全国、世界に発信しようという初のイベント「ワインツーリズムさんりく2022」(実行委員会主催)は22日、開幕した。青森、岩手、宮城の沿岸部にあるワイナリー9カ所が参加し、県内では大船渡市と陸前高田市に設けられた各会場で自慢のワインや地場産品の食を提供。全国のワイン愛好者らがワイナリー巡りを楽しみ、地元醸造家らと交流を深めた。イベントは23日も行われ、地域住民らの来場も呼びかけている。(三浦佳恵)
このイベントは、三陸沿岸部の豊かな食材と生産されたワインを通して、地域の自然や風土、人々の営みを感じ、多くの人々が継続的に三陸の地を訪れるきっかけを創出しようと企画。
大船渡、陸前高田、気仙沼、南三陸の4市町にそれぞれ会場を設置。大船渡市の㈱スリーピークス(及川武宏代表取締役)、陸前高田市の㈲神田葡萄園(熊谷晃弘社長)、ドメーヌ ミカヅキ(及川恭平代表)を含む9カ所のワイナリーが参加した。
三陸沿岸で初めてワイナリー巡りを楽しめるイベントとあって、全国各地の愛好者らが次々と来場。専用のシャトルバスを利用して訪れる人も多く見られた。
大船渡会場は、大船渡町にあるスリーピークスの醸造所に設けられ、同社が手がけるワインやシードルなど8種類の試飲、地元産ホタテ焼き、地域の海の恵みを使って考案された「三陸マリアージュ」商品を提供。来場者らはさまざまなワインと三陸の食の組み合わせを堪能した。
福岡県福岡市から訪れた西恵里奈さん(31)は「三陸にはまだ来たことがなかったので、食とおいしいワインを楽しみに参加した。いろんな種類が出ていて飲みやすいし、三陸の人々のもてなしや優しさに触れられるのが魅力だと感じた」と笑顔を見せた。
及川代表取締役(43)は「おいしいと飲んでもらえてありがたい。県外の人にも三陸のワインを知ってもらえる機会になっている。来年以降も続けられれば」と話していた。

神田葡萄園では醸造の現場を案内するツアーも
陸前高田は米崎町の神田葡萄園が会場となり、試飲として同社のワインやシードル7種類と、ドメーヌ ミカヅキのシードルが提供された。市内飲食店による出店もあり、来場者らはブドウ畑の中でワインと食を堪能した。また、ブドウ畑や醸造所内などを見学する「テロワールツアー」も行われ、来場者らがワイン造りの一端にも触れた。
ドメーヌ ミカヅキでは、来月発売予定のシードル「キュヴェM」の無料試飲を実施。及川代表(28)は「初めて手がけたシードルを紹介し、SNSでつながったお客さまとも顔を合わせられ、とてもいい機会になっている」と話し、来場者からの感想にも耳を傾けた。
熊谷社長(38)は「コロナ禍もあってこうした取り組みができるのは久しぶりで、楽しい。来年、再来年と続け、もっと地元の人にも来てもらえるイベントになれば」と継続を誓っていた。
イベントは、23日も午前9時から午後5時まで開催。気仙の会場では、地域住民らの来場も歓迎している。