久々の入港 絆を再確認 「飛鳥Ⅱ」1年半ぶりに 震災時の〝思い出〟掲げる姿も(別写真あり)

▲ 「飛鳥Ⅱ」が1年半ぶりに大船渡入港

 郵船クルーズ㈱(本社・神奈川県横浜市)が所有するクルーズ客船「飛鳥Ⅱ」(5万444㌧)が24日、昨年4月以来1年6カ月ぶりに大船渡港に入港した。歓迎の心を伝えようと、地元関係者約50人が大漁唄『御祝い』に合わせて舞などを披露。デッキでは、東日本大震災が発生した平成23年の入港時に受け取った黄色いハンカチを掲げて再訪を喜び、大船渡の関係者と絆を確かめ合う光景も見られた。(佐藤 壮)

11年前に受け取ったハンカチを掲げる乗船客も

 

 『御祝い』による歓迎は、今年5月に「にっぽん丸」(商船三井客船㈱、2万2472㌧)の入港に合わせて行われ、「飛鳥Ⅱ」の乗船客には初めて披露。遠藤和子踊り教室や国際ソロプチミスト岩手リアス、大船渡商工会議所女性会、さいとう製菓㈱、大船渡・海を愛する会、市食生活改善推進員団体連絡協議会、東北銀行大船渡支店、市観光物産協会の関係者ら約50人が参加した。
 同協会の齊藤俊明会長は「張り切って、元気に迎え、客船誘致に一生懸命取り組んでいる姿を示そう」と呼びかけ。参加者はそろいの衣装と櫂を手に、息の合った動きを見せた。商議所女性会太鼓も迫力の演奏を響かせた。
 「飛鳥Ⅱ」の小久江尚船長は、船内からのアナウンスで、心温まる歓迎に感謝を示した。さらに、市制施行70周年を祝福するメッセージも寄せ、今後の交流継続に期待を込めた。
 デッキからは、黄色いハンカチを掲げる姿も。横浜市在住の村上冨美子さん(85)は、平成23年10月も乗船客の一人として大船渡に来訪。当時の大船渡小5年生が「絆」「大船渡も元気になってきました」と記し、乗船客に贈ったハンカチを大切に保管してきた。
 その後、岸壁に降り立った村上さんは「出港の時の見送りの光景が、今も忘れられない。以来、大船渡に入港するクルーズの時は、必ず持ってきている。ここに来ると、なつかしく、古里に戻ってきたような感じになる」と話し、笑顔を見せてきた。
 今回の入港は、横浜港発着の「錦秋のみちのく・函館クルーズ」の一環。乗客は約330人で、野々田埠頭では酒類や菓子、水産加工品などの販売スペースが設けられたほか、県内各地を巡るバスツアーも用意された。
 午後5時の出港に合わせ、大船渡一中吹奏楽部が演奏を響かせたほか、大船渡保育園児も鹿踊りを披露。住民らも見送りに訪れ〝再会〟を誓い合った。
 今後は11月4日(金)に「ぱしふぃっくびいなす」(日本クルーズ客船㈱、2万6594㌧)、29日(火)には「にっぽん丸」が入る。