県発明くふう展で最高賞 山城運輸が受賞 車両フレーム洗浄装置で
令和4年10月28日付 3面

陸前高田市竹駒町の㈲山城運輸(加藤隆代表取締役)は、第58回県発明くふう展(県発明協会主催)一般の部に2作品を出展し、一つが最高賞の東北経済産業局長賞を、もう一つが3位相当の盛岡商工会議所会頭賞を受賞した。同局長賞の作品はトラックの下回りのサビ防止対策として、車両の骨組み「フレーム」内部を洗浄できる装置で、アイデアが高く評価された。(高橋 信)
別作品は3位入賞
同展は県民の優れたアイデア、発明考案品を一堂に展示し、発明思想の高揚、科学技術の振興、地域産業の発展を目的に開催。一般の部には個人・団体から17作品の応募があった。
フレームはトラックのボディーを支える鉄製の骨格的パーツで、同社が発明した洗浄装置はフレーム内部に付着した融雪剤を洗い落とすもの。車両外部は手洗い洗車機などで洗浄できるが、下部にあるコの字型のフレーム内を洗うのが難しいことから独自に作った。
フレーム側面のサイドレールに洗車機ホースと接続する継手を取り付け、配管を通してフレーム内に水を流し込む仕組み。5カ所に配置した噴射口は回転式になっており、フレーム内の全方位を満遍なく洗えるようにした。同社によると7㌧車の場合、10分程度で洗浄完了するという。
本県などの雪国では冬季、融雪剤が多く使用され、同社は以前からトラックの下回りの腐食の進行に悩まされてきた。構想から約2年で完成し、平成28年8月に特許を取得。今回、同展に初めて応募し、見事、最高賞に輝いた。
一方、盛岡商工会議所会頭賞を受賞したのは、トラック荷台の荷崩れを防止する「ラッシングベルト」の改良版。通常一つしかないというベルトの締め付け具を二つに増やした。これにより荷物を固定する荷台上での固縛作業を地上で行えるようになり、荷役時の労災減、荷物の横ずれ回避が期待できるという。
加藤代表取締役(68)は「初めて作品を出し、2点とも入賞するとは思いもしなかった。外部から評価していただいたことは素直にうれしい」と喜んでいる。
「運輸業界は新型コロナウイルスや燃料高騰の影響が続き、県や市の支援金などを励みに頑張っているが、今後の見通しは不透明だ。そうした中、栄えある賞をいただき、これを糧として社員一同力を合わせて業務に励む」と思いを新たにする。
応募作品は今月1日に盛岡市の県工業技術センターで展示。表彰式はこのほど、同センターで行われた。