2023市長選/出馬表明 現職のみに 告示まで残り3カ月 漂う〝無風〟ムード 対抗馬擁立が焦点に

 任期満了に伴う陸前高田市長選(来年1月29日告示、2月5日投開票)の告示まで3カ月となった。現時点で4選出馬を表明した現職の戸羽太氏(57)=高田町=以外に表立った動きはない。無風ムードが漂い始めた中、引き続き、対抗馬擁立の動きが焦点となっている。直近6回は選挙戦を繰り広げており、仮に無投票となれば平成7年以来28年ぶりとなる。(高橋 信)

 

戸羽 太氏

 「さまざまな取り組みが現在進行形で進められ、加えて新型コロナウイルス禍やロシアのウクライナ侵攻などによる市内経済、市民生活の影響への対策が喫緊の課題となっている現状から、引き続き市政を担わせていただきたい」。戸羽氏は9月7日の市議会9月定例会一般質問の答弁で、次期市長選への立候補を表明した。
 今月23日には、戸羽氏の過去3回の選挙を支えた同市の政治団体「あたらしい陸前高田市をつくる市民の声」(戸羽照夫会長、市民の声)が、同氏に出馬を要請。市民の声は会報の発行、宣伝車巡回などで支持拡大を図っていく。
 戸羽氏は無所属で臨み、各政党への推薦を求めない考え。今後、幅広い世代の市民と話し合いの場を設けるなどして公約をまとめる。12月に事務所開きを計画している。
 軸とする市議時代からの後援会(丹野紀雄会長)や市民の声の高齢化が進行する中、8月には戸羽氏を支持する市内50歳以下の現役世代有志でつくる任意団体「戸羽太を応援する仲間たちU─50」(岩﨑順一代表)が発足。丹野会長(78)は「若い世代とも積極的に連携していきたい」と見据える。
 戸羽氏は神奈川県松田町生まれ。民間企業勤務を経て、平成7年の陸前高田市議選に初当選し、連続3期。19年3月に同市助役に就き、翌月から22年12月まで副市長を務めた。23年2月の市長選で初当選し、27年に再選した。31年の前回は、元県職員の新人との一騎打ちを制した。
 次期選挙に向け、名乗りを上げたのは戸羽氏のみ。同氏後援会幹部は「静かすぎて不気味だ」と漏らす。市民の声の一人は「他の動きを気にするよりも、戸羽市政の3期目の実績を浸透させることに集中したい」と述べた。
 前回選で戸羽氏を得票数5票差まで追い詰めた新人は、すでに関係者に不出馬の意向を示している。支持者らが立ち上げた政治団体「改革たかた」は、現時点で独自候補の擁立に至っていない。
 前回、新人を応援した一人は「まちづくりの方向性の転換を求める声は根強くある。無風ムードに歯がゆさを感じている人は多い」と指摘する。一方で「市長選は一世一代の勝負。自分が刷新するという人はなかなか出てこない」とも語った。
 市選管によると、次期市長選は昭和30年の市制施行以来通算18回目で、震災後としては3回目。無投票となったのはこれまでに6回あり、直近は平成7年。11年から前回までの6回は現職と新人、または新人同士によるいずれも一騎打ちが行われてきた。
 9月1日現在の有権者数は1万5963人(男7695人、女8268人)で、前回の選挙当日有権者数より719人少ない。