「精密凍結餌」で特別賞 グッドアクアリウムデザイン賞 三陸エンリッチ メント研究室 三陸町などに拠点

▲ さらなる製品展開に意欲を見せる𡈽方代表

 大船渡市三陸町越喜来などに拠点を構える三陸エンリッチメント研究室(𡈽方剛史代表)が展開する「精密凍結・活餌料NaturalEcosystem Module」が、本年度のグッドアクアリウムデザイン賞で特別賞を獲得した。イサダをはじめ大船渡産の魚介類を「精密凍結」することで、生き餌と冷凍餌双方の利点を両立させた商品で、観賞魚飼育に自然本来の環境機能を供給する観点などから高い評価を得た。
 この賞は、観賞魚飼育の普及に貢献する製品や空間、サービスの顕彰制度。一般社団法人日本ペット用品工業会、日本観賞魚振興事業協同組合の後援を受けて同実行委が開催し、6回目を迎えた。
 今回は1次審査から11件の作品が2次審査に進み、審査員らが「独創性」「有用性」「機能性」「造形性」「気安さ性」の5項目などで評価。まず一般受賞9件を選び、さらに最優秀賞と優秀賞、奨励賞、特別賞の各受賞作品を決めた。
 神奈川県出身の𡈽方代表は、平成24年に復興支援で岩手に移住。一昨年、支援先の一つにあった大船渡市内の水産加工業者と、難飼育魚向け特殊飼料として、研究機関や水族館、熱帯魚愛好家らに販売する小売業・三陸エンリッチメント研究室を立ち上げた。
 昨年度、大船渡ビジネスプランコンテスト・ビジネス部門に参加。大船渡産のイサダを「精密凍結」することで、主に観賞魚飼育向けのビジネスモデルを掲げ、最優秀賞に輝いた。
 iPS細胞凍結にも活用される精密凍結技術の「CAS」を用いて、本来の生息環境での形状や組成のまま餌として水槽内に供給できる仕組みを目指してきた。解凍時間はわずか5分で、現在は三つの製品群に分けてインターネット上で商品展開し、評価が高まっている。
 魚介類の処理や凍結はすべて大船渡市内で行っており、水産や観賞魚飼育関係者、水族館の協力を得ながら、地道に研究を重ねてきた。𡈽方代表は「本当に多くの方々が関わり、小さなサイクルの中で協力者の需要を満たすよう製品づくりに励んできた結果、一定の評価を受けることができてうれしい」と話し、感謝を込める。