サンマ水揚げ 数量、金額とも本州トップ 市魚市場 低水準も前年上回る実績に 10月末現在の全さんま集計

▲ 220㌧を超える水揚げもあった大船渡市魚市場。11月の数量の行方が注目される

 全国さんま棒受網漁業協同組合(全さんま)は、令和3年・4年の対比サンマ水揚げ状況を発表した。10月31日現在、大船渡市魚市場への数量は前年同期比102%増の1764㌧で、金額は同85%増の12億5660万円。数量、金額とも全国2位で、本州トップを維持しているが、令和2年以前と比べれば低水準が続く。関係者は、11~12月にかけての三陸沖での漁場形成による〝巻き返し〟に期待を込める。(佐藤 壮)

 

全国では2位

 

 全さんまによると、同日現在の全国数量は前年同期比17%増の1万1018㌧。金額は同15%増の69億2194万円となっている。過去最低に終わった昨年よりは上向いている。
 数量は北海道分が6956㌧で、同696㌧(9%)の減。本州合計は4062㌧で、前年同期を2274㌧(127%)上回った。
 県内数量2030㌧(前年比1030㌧増)のうち、大船渡が9割近くを占める。今季の初水揚げは8月27日で、本州トップを切って鎌田水産㈱(鎌田仁社長)所有の大型船が入港し、約3・2㌧を水揚げした。数量は、初水揚げでは過去最低で前年の1割程度にとどまったが、その後、同29~31日と立て続けに大型船が接岸した。
 9月中旬は14~17日に、下旬は27~30日に大型船が接岸。特に、29日と30日は100㌧を突破し、活気に包まれた。
 10月は中旬以降、まとまった数量が続いた。全国的な不漁に伴う高値傾向を反映して1㌔平均単価も700円前後で推移し、1日だけで水揚げ金額が1億円を超える日もあった。
 前年実績を上回る一方、年間累計で6000㌧台だった令和元年、同2年のペースを下回る。1万㌧を超えていた平成30年以前の状況からも大きく落ち込んでいる。
 同魚市場の千葉隆美社長は「もう少し漁況がよくなってほしいという思いは、みんな同じではないか。沖では、資源量だけでなく、しけの影響もある。やはり、サンマは量があって、加工だけでなく運輸や資材なども含めみんなで仕事をするもの」と語る。
 昨年は11月も約1500㌧の水揚げにとどまり、年間累計数量は前年同期比60%減の2471㌧と、平成以降で最低実績に。金額は同39%減の17億829万円で、単価上昇があったものの数量大幅減の影響を補えなかった。
 震災前の数量は平成20年が3万400㌧、21年が2万8995㌧、22年が2万1687㌧。震災で同魚市場も大きな被害を受けた23年は1万8438㌧、24年は2万385㌧となった。25年は1万4585㌧に落ち込んだが、26年は2万7133㌧と持ち直した。
 27年は1万3684㌧、28年は1万3845㌧、29年も1万1088㌧と3年連続で不漁に。30年は前年比57%増の1万7379㌧とやや復調したものの、令和元年以降は1万㌧台が遠い状況が続いている。
 一般社団法人・漁業情報サービスセンターが10月31日に発表した本年度第6回サンマ中短期漁況予報によると、道東海域では今月上旬に、三陸海域は同中旬にそれぞれ断続的な来遊があるが、いずれも、量は少ないとしている。
 道東海域よりも東~南側の公海における11月上旬の来遊量は低位水準。道東海域では同上旬~中旬に断続的な来遊があるが、多くの魚群は道東海域よりも東~南側を南下し、道東近海に来遊する群は極めて少ないとしている。
 三陸海域は同上旬までは来遊がなく、中旬は低位水準で増加。下旬~12月上旬は低位水準で推移し、同中旬は断続的な来遊があると予測する。