ツバキの魅力に触れて 初のフェスティバル開幕 17日まで椿館で 貴重な資料や工芸品展示 (別写真あり)

▲ 『椿花図譜』の復刻版が公開された「椿の里秋のフェスティバル」

 大船渡市の日本ツバキ協会大船渡支部(大船渡ツバキ協会、林田勲会長)と世界の椿館・碁石(村上達夫館長)が主催する「椿の里 秋のフェスティバル」は11日、末崎町の同館で開幕した。会場では、秋咲きのツバキが観賞できるほか、ツバキを活用した工芸品、貴重な資料である椿花図『椿花図譜』の復刻版などを紹介。ツバキ盆栽などを作る体験もでき、市花でもあるツバキの多彩な魅力に触れられる。催しは17日(木)までで、多くの来場を呼びかけている。(三浦佳恵)

 

あす開催の「伝統こま廻し交流会」で贈られる金、銀、銅のこま

 この催しは、地域におけるツバキの歴史や文化に触れながら、その資源を生かしたまちづくりにつなげ、同館の秋咲きツバキも観賞してもらおうと初めて企画。市の市民活動支援事業を活用し、「椿の里、次の百年への展望」フォーラム事業の一環として開催した。
 同館では世界13カ国、約600種のツバキを植栽、展示しており、現在は秋咲き、サザンカの品種を中心に全体の1割程度が開花。「白玉(初嵐)」「東方朔」などの花々を観賞できる。
 フェスティバル初日の11日は、展示部門「椿の『歴史と文化』展」と、「椿のミニ盆栽&毛糸玉製作体験」を実施。会場には、市民や観光客らが足を運んだ。
 展示部門は、館内の交流広場と研修室で展開。交流広場ではツバキを原材料にした工芸品が展示、販売され、手づくり家具工房・さんりく光風舎(三陸町越喜来)、陶房・艸雲窯(立根町)、糸紡ぎ工房・ハベトロット(大船渡町)の作品が並ぶ。
 ツバキ材を加工したカッティングボードやいす、ツバキの灰を釉薬に用いたマグカップ、花びらで染めた布小物などがズラリ。ツバキのさまざまな利活用法に触れられる。
 研修室では、宮内庁が所蔵する『椿花図譜』の復刻版をはじめ、県指定天然記念物「三面椿」の50年余りにわたる歩みなどを紹介。
 このうち、『椿花図譜』は江戸中期まで見られたツバキの園芸品種720点の絵を収めたもの。昭和36年にツバキ研究の第一人者・渡辺武氏(故人)が同庁の許可を得て撮影した写真をもとにし、44年に復刻された。
 昨年、日本ツバキ協会町田支部長の中村清彦さんから椿館に寄贈されたもので、一般公開は今回が初。会場では48点を公開しており、現存していない品種も多いという。
 製作体験では、愛好者らが参加してツバキのミニ盆栽などに挑戦。針金を使って好みの形に仕立て、管理方法などにも理解を深めていた。
 末崎町から家族と訪れた30代の男性は「イベントもあると聞いて、初めて椿館を訪れた。ツバキは花のイメージが強いが、木工品などいろんな使い方があると知った。花の時期にまた来てみたい」と話していた。
 林田会長は「例年以上にツバキの開花が進んでいる。ツバキの新しい魅力に触れ、楽しんでほしい」と呼びかけている。
 イベント期間中は、展示部門とツバキ盆栽・毛糸玉製作体験を毎日開催し、来館者の先着30人にツバキの苗を贈る。製作体験は参加料が1作品500円で、午前10時~正午に随時受け付ける。
 12日には、椿油の搾油体験コーナーを開設。13日(日)は午前10時から「椿講演会」を、午後2時から「伝統こま廻し交流会」を開き、当日の参加も受け付ける。交流会の上位入賞者には、大船渡のツバキ材を使った特注の金、銀、銅のこまを贈る。
 14日(月)は休館。問い合わせは椿館(℡29・4187)へ。