先人の遺徳しのぶ 光照寺で「道慶忌」 イメージソングの披露も(別写真あり)

▲ 焼香で道慶の遺徳をしのぶ参列者ら

 陸前高田市の偉人・村上道慶(1558~1644年)の遺徳をしのぶ「道慶忌」(同実行委員会主催)は13日、高田町の光照寺(髙澤公省住職)で営まれた。自らの身を犠牲にして気仙川のサケ漁争いに終止符を打った道慶の報恩供養が行われ、参列者が世の中の平和も願いながら合掌した。(阿部仁志)

 

 江戸時代初期に生きた道慶は、気仙川でのサケ漁割り当てを巡り、高田村と今泉村の村人らの間で起きた争いを仲裁した人物。死者が出るほどの争いに発展した中、「私の告げた通りのことが起きたら争いをやめるように」と伝えて自ら首を切り落とし、お告げの通りになったことから、両村民は改心して共同で漁をするようになったという。
 道慶の墓がある同寺では、命日である旧暦10月20日に合わせて法要が行われ、主催が実行委形式となった平成28年からは「道慶忌」として実施。29年からは、会場を気仙町の寺院と光照寺で交代しながら行い、先人の遺徳を伝承する機会としている。
 今回は三百七十九回忌の法要。新型コロナウイルスの影響で一般の参加を見合わせ、寺院関係者や実行委員ら約30人が参列した。
 主催者あいさつのあと、東京都在住のシンガーソングライター・山田タマルさん(39)が道慶をイメージし作った曲『いくたびも星に』を奉納。法要では参列者らが焼香し、道慶墓所の参拝も行って手を合わせた。
 実行委員の大友健右さん(73)は「世界各地で争いが絶えない中、道慶の遺徳をしのび、偉大な功績を伝承し続け、平和な社会を築いていくことを霊前にお誓いしたい」と話していた。


 

イメージソング『いくたびも星に』を歌う山田さん(右端)

 母親が大船渡市出身の山田さんは、この日の道慶忌に参列し、髙澤住職からリクエストを受け作詞作曲した『いくたびも星に』を初演した。法要後はソロライブも行い、「これからも音楽を通じて道慶さんのことを伝え、思いのバトンをつないでいきたい」と語った。
 山田さんは、親戚がいる気仙に幼少期から何度も足を運んで親しみ、平成18年にメジャーデビューしてから各地で音楽活動を行う。現在は、さんりく・大船渡ふるさと大使としても活躍している。
 今回奉納した曲は、令和2年に山田さんのライブを聞いて感銘を受けた髙澤住職から話を受けて作ったもの。当初は同年の道慶忌での披露を目指していたが、新型コロナウイルスの影響で見合わせていた。
 2年越しの念願がかなった今回の奉納。山田さんがピアノの弾き語りで、「きっといつかはわかり合う」「あなたが流した涙の中に、私は今どうして生きようか」などの歌詞が続くバラード調の曲をしっとりと歌い上げた。
 法要後のライブでは、ギターの弾き語りでオリジナル曲を披露。透き通るような歌声で、世界の民謡や美しい土地、平和への思いなどをテーマに作った曲を歌った。
 山田さんは「無事に歌を奉納できて良かった。今後も各地で『いくたびも星に』を歌い、道慶さんからいただいた命のメッセージを多くの方に知ってもらいたい」と話していた。