更生保護尽力で大臣感謝状 温かな心 地域に伝える 「会員のおかげ」感慨ひとしお 吉田弥津子さん

▲ 戸羽市長㊧、松坂会長㊨とともに感謝状を受けたことを喜ぶ吉田さん㊥

 陸前高田市の陸前高田地区更生保護女性の会(松坂知子会長)の前会長・吉田弥津子さん(78)=竹駒町=が、青少年の非行防止や健全育成に長年尽力したとして、法務大臣感謝状を受けた。令和元年に同会結成50年を迎え、100人を超える大所帯の組織をまとめ上げながら、活動を通して更生保護の温かな心を地域に伝えてきた。「支えてくれた会員の皆さんといただいた賞状」と感慨もひとしおだ。(高橋 信)

 

 大臣感謝状を受けたのは、同会では5人目。18日は松坂会長とともに市役所を訪れ、戸羽太市長に報告した。
 戸羽市長は「大変素晴らしいことだ。皆さんの活動は地域にとっても非常に大切なもの。未来ある子どもたちのため、これからも頑張って」とたたえた。
 同会は昭和44年に設立。吉田さんは平成10年、同会を退く義母の代わりに入会した。
 忘れられない取り組みは、盛岡少年院に在院する少年を高田松原に招く行事だ。他地区では見られない陸前高田地区ならではの事業といい、昭和60年から東日本大震災前年の平成22年まで毎年欠かさず実施された。
 「海で遊び、バーベキューを食べる少年たちの笑顔が忘れられない。特色ある活動で、携わることができて本当に良かった」と振り返る。
 震災の津波で会員19人が亡くなり、活動拠点の施設も失った。まちは甚大な被害を受けた中、同会は「先輩が築いてきた組織の歴史を絶やすわけにはいかない」と、24年に活動を再開。同少年院の行事への参加や特別養護老人ホームへの訪問、研修会などを復活させた。
 吉田さんは29年、当時の会長の急逝により会長職に就任。令和元年には結成50年の記念式典を開催し、半世紀の節目を祝った。
 今年春、会長職を松坂氏にバトンタッチし、顧問に就いた。「感謝状をいただくほど自分一人で何かをしたわけではない。本当に会員のおかげ。感謝の気持ちをこれからも持ち続けたい」と話す。
 震災で約90人にまで減った会員数は約120人に回復した。「大人数だが、団結力があるのが自慢。安全で安心して暮らせる地域社会の実現のため、一人でも多くの女性に入ってもらいたい」と願っている。