大高陸上部の活躍光る 数々の大会で上位入賞 国体、県新人戦、駅伝など

▲ 栃木国体やり投げで全国5位の下村選手㊧と県新人大会400㍍H優勝の船野選手

 県立大船渡高校陸上部の選手たちが、各種大会で輝きを放っている。栃木県で開かれた第77回国民体育大会「いちご一会とちぎ国体」の陸上競技少年男子Aやり投げで、初の全国舞台となった下村知太郎選手(3年)が自己ベストを大きく上回る61㍍49をマークし5位入賞。盛岡市で行われた第73回県高校新人大会の陸上競技では、船野寿陽選手(2年)が男子400㍍ハードルで初優勝、同400㍍で3位に輝いた。さらに、先月開かれた第73回全国高校駅伝競走大会県予選会では、1~3年生の駅伝メンバー7人が粘りの走りで13年ぶりの6位入賞を勝ち取るなど、数々の舞台で力を発揮している。(菅野弘大)

 

13年ぶりの県入賞を果たした駅伝メンバーの7人

 栃木国体に出場した下村選手は、今年6月に国体の選手選考を兼ねて行われた県陸上競技選手権大会での記録が認められ、本県代表に選出された。
 23人で争った本番では、1投目を失敗し、2投目で自己ベストを上回る59㍍02をマーク。「59㍍でもうれしかった」と振り返るが、続く3投目でそれをさらに超える61㍍49を投げ、堂々の全国5位をつかんだ。
 「当日は、助走の調子が良すぎるくらいだった」とコンディションを語り、2投目を投げた段階では、4投目以降に進める上位8人に次ぐ9位。「次が高校最後の投てきになるかもしれない」と3投目で奮起し、見事に60㍍の大台を超えてみせた。
 大会前、同級生や後輩からの激励メッセージが書かれたハチマキをもらったという下村選手。そのメッセージを読み、ハチマキを着けて投げた3投目が、全国入賞をもたらした。「ここまで仲間と頑張ってきたことを思い出した。自己ベストを出せたのは、ハチマキのおかげかもしれない」とはにかんだ。
 国体を最後に、高校の部活動を引退したが、大学でもやり投げを続ける。「大学では70㍍を目標に競技に打ち込み、長沼元さん(陸前高田市出身、現・スズキアスリートクラブ)が出した79㍍という県記録にも迫れれば。大船渡を背負って戦える大きな選手になりたい」と夢を描く。

 船野選手は、今回の新人大会が400㍍ハードルのデビュー戦。「57秒くらいを目安に」とリラックスしてレースに臨むと、予選で58秒63をマークし決勝進出。上位8人での決勝もさらにギアを上げ、56秒67で初優勝を飾り、「優勝できてうれしい。それよりも、自分がレースを楽しめたことが良かった」と笑顔を見せた。
 専門種目の400㍍に加え、今年8月からハードルにも挑戦。「怖がらずに体を預けるイメージで」と練習に臨み、2種目の両立を目指してトレーニングをこなした。「ハードルの経験が浅いので、繰り返し跳んで慣れることを心がけている」と語る。
 今後の目標は、2種目の両方を伸ばしていくこと。3年生から部長の任を引き継ぎ、責任感も増した。「400㍍は49秒台、ハードルは53秒が目標。速いライバルがいる中で、何とか食らいついていきたい」と闘志を燃やす。
 42・195㌔を7人で走る全国高校駅伝競走大会県予選会には、オープン参加を含めた18チームが出場。大船渡は、1区の佐藤佑紀選手(3年、主将)が入賞圏内の5位でたすきをつなぎ、2区の斉藤風太選手(同)が順位をキープ。その後に二つ順位を落とし、7位で最終の7区を迎えたが、アンカーの福田空選手(2年)が意地の走りで1人を抜き、6位でフィニッシュ。大船渡高では、平成21年以来13年ぶりの入賞となった。
 部内の長距離メンバーだけでは人数が足りず、短距離メンバーや県高総体で引退した3年生にも声をかけ、〝少数精鋭〟で挑んだ今大会。1年生のころから3年連続で1区を走った佐藤主将は「ずっと6位に入賞したいと話していた。最後の駅伝で目標を達成できて良かった」とうれしさをにじませた。
 決して簡単な道のりではなかった。個人種目でインターハイに出場した佐藤主将は、原因不明の胸の痛みで1カ月間まともに走ることができなかった。受験勉強のさなかに出場を決めたほかの3年生メンバーも、数カ月のブランクがあり、万全なチーム状態ではなかったが、選手それぞれが「持てる力を出し切ろう」と臨み、結果へとつなげた。
 「アンカーが6位で帰ってきた時、ほかのメンバーも笑顔だったのが何よりもうれしかった」と佐藤主将。「チームのために頑張ってくれて『ありがとう』と伝えたい」とメンバーへの感謝を語り、後輩たちには「実力のある選手と争えるように、努力を惜しむことなく、地道にこつこつと練習を続ける姿勢を大切にしてほしい」とエールを送る。自身も大学で長距離種目を続ける意欲を示し、「いずれは箱根駅伝に出られるような選手に」と精進を誓った。