避難の大切さ 胸に刻む 両市の小学校で防災学習

▲ 平山さん(右端)の講話を通し、震災時の消防団活動などについて学んだ児童たち

消防団員の役割に理解
大船渡北小

 

 大船渡市大船渡町の大船渡北小学校(佐々木一義校長、児童102人)の4年生18人は24日、総合的な学習「防災力をパワーアップ!!」の一環として防災学習に取り組んだ。同校PTA会長で元消防団員の平山栄喜さん(55)を講師に招き、消防団の概要や東日本大震災時の活動、自助の大切さなどへの理解を深めた。
 4年生はこれまで、身の回りにある備えを知ろうと、地域にある災害・防災に関わるものを調査。同校も避難所に指定されていることに気付き、体育館横の防災倉庫についても調べた。
 その結果、震災当時のように多くの住民が長期間避難した場合、倉庫内にある備蓄物資だけではすぐに尽きてしまうことが判明。児童たちは、避難者たちがどのように生活していたのか、また、誰がその生活を支えていたのか知るため、市役所、消防署、消防団の関係者にそれぞれ話を聞くことにした。
 初回のこの日は、平山さんから消防団について学んだ。平山さんは「普段は仕事をしていて、災害があったときに集まって市民を守る仲間たち」と消防団を紹介。震災では屯所が流され、被災した団員もいた中、市民を守るという責任感で活動していたことなどを振り返った。
 また、「自分の身は自分で守ること。人を助けるには、まず自分が平気でなければ」と語り、自助の大切さも繰り返し訴えた。震災時、第1波は8分後に到達したことにも触れ、想像以上の早さに驚く児童たちに向かって「すぐに逃げなければいけない」と早期避難を呼びかけた。
 児童たちは、消防団活動の大変さとやりがいを学ぶとともに、責任感と義勇愛郷の精神で奔走した震災時のエピソードにも興味深く耳を傾けていた。

 

シミュレーションゲームで避難ルートを話し合う児童ら

ゲーム通じ親子で学ぶ
小友小

 

 陸前高田市小友町の小友小学校(渡辺浩公校長、児童79人)で24日、同校PTA(戸羽隆太会長)主催の「親子防災体験教室」が開かれた。参加した児童と保護者が「津波避難シミュレーションゲーム」を体験し、災害発生時の最善の避難行動へ考えを深めた。
 同教室は授業参観に合わせて実施。東日本大震災による同町の被災状況の伝承や、防災教育のステップアップなどが狙い。
 リモート環境を活用し、体育館や各教室を会場に設定。児童らは住んでいる地区ごとのグループに分かれ、保護者も子どものいる会場に足を運んだ。
 講師を務めたのは、同市立気仙小学校長で、同町出身の佐藤健さん(57)。
 はじめに講話を行い、11年前の震災による各地の被害状況や、当時の小友小児童がとった避難行動、地震が発生するメカニズムなどについて説明。「スイッチ・セーフ・セーブ」の頭文字をとった「三つのS」を紹介し、「地震が起きたとき、周りに逃げろと叫んでくれる人がいるとは限らない。皆さんそれぞれが逃げるためのスイッチを持つことが大事」と呼びかけた。
 その後、津波避難のシミュレーションゲームを体験。小さなマスで区切られた仮想の地図を使って、出発地点の学校から安全に逃げるルートを考えた。
 児童や保護者らは、最短で高台を目指せるルートや、避難先で必要なものを確保できるルート、海や川から離れた場所を通るルートなどを考えながらグループ内で意見を共有。各グループの発表も聞いて視野を広げた様子だった。