2022市長選/苦難乗り越え歓喜の瞬間 渕上陣営 「岩手随一の沿岸都市を」 初当選喜び分かち合う支持者
令和4年11月28日付 7面

盛町の渕上氏事務所には、午後7時過ぎから支持者が集まり始めた。屋外のテントでは炭で火を起こして寒さをしのぐ姿が目立った。
サッカーW杯日本戦の中継を見ながら和やかな雰囲気が広がっていたが、終了した同9時ごろから重苦しい雰囲気に。同50分ごろ、テレビの速報で当選を確認すると「やった」「よかった」と声が飛び交った。渕上氏が妻の栄子さん(64)と一緒に姿を見せると、拍手が鳴り響いた。
総括責任者の甘竹勝郎前市長は「圧倒的な勝利。沿岸随一のまちづくりを」とあいさつ。後援会の佐々木秀昭副会長は「渕上氏の勝利とかけ、満塁ホームラン2本と解く。その心は、8点(発展)になります」として、万歳の音頭を取った。
渕上氏は「対立軸が見えず、特色を出すことには苦労したが、少しずつ支持者が増え、まとまることができた。『総力あげて活気倍増』をスローガンとしたが、総力は市民一人一人の思いや熱意、行動そのもの。岩手随一の沿岸都市を、陸前高田市や住田町の力を借りながら、ともに結実させたい」と意欲を示した。
戸羽太陸前高田市長は「一緒になって気仙を盛り上げたい」、神田謙一住田町長は「内陸への道路問題など、多田一彦遠野市長と私、渕上さんの同級生ラインで頑張りたい」と祝辞。戸田公明大船渡市長は「しっかりと引き継ぎさせていただく」と語った。
孫代表からの〝当選証書〟も受け取り、表情を緩ませた渕上氏。報道陣に「僅差になるという感覚はあったが、後援会活動の結果。組織力がここに来て、大きな差になった」と話し、支持者への感謝を込めた。
「皆さんの支えで戦った」思い届かず 4氏の声
◆佐藤 寧氏(55)
大船渡町の選挙事務所で結果を確認し、支持者に頭を下げた。「皆さんの支えで戦ってこれた。給食費無料化など、若い人たちから『ぜひやってくれ』と言われたので、渕上氏には、そういったものもやっていただければ。今後については、後援会長や周りの皆さんと相談して決めたい」
◆村上守弘氏(63)
盛町の選挙事務所で後援会メンバーら約30人と吉報を待ったが、願いは届かなかった。「トップと票差はあったが、政策はしっかりと市民一人一人に届けられた。この結果は、全て私の責任。この恩は一生忘れない。自分の人生の中で、いろんな形で恩返しをしていきたい」
◆鵜浦昌子氏(67)
大船渡町の事務所に午後10時ごろ姿を見せ、関係者に感謝の言葉を伝えた。「自分が立候補したことで、『女性候補が市長選に出る』というきっかけはつくることができた。自分がやりたいことは市長という肩書がなくてもできる。皆さんとの絆を大事に、大船渡と関わっていきたい」
◆鈴木茂行氏(53)
猪川町の自宅で一人で開票結果を確認した。およそ1年間に及んだ選挙活動の結果に、悔しさをにじませた。「自分の実力のなさの表れであり、非常にショック。一方で、厳しい戦いの中で私に貴重な一票を投じていただいた方々に大変感謝している。ご期待に沿えず申し訳ない」