2022市長選/渕上氏抜け出し初当選 12年ぶり新リーダー誕生 候補者過去最多の大混戦制す 佐藤、村上、鵜浦、鈴木各氏届かず

▲ 初当選が決まり、喜びの笑顔を見せる渕上氏㊥

 任期満了に伴う大船渡市長選は27日に投票が行われ、即日開票の結果、無所属・新人で前市議会議長の渕上清氏(64)=盛町=が7578票を獲得し、元市議・佐藤寧氏(55)=立根町、元会社役員・村上守弘氏(63)=猪川町、NPO団体代表・鵜浦昌子氏(67)=大船渡町、イベント企画業代表・鈴木茂行氏(53)=猪川町=の4新人を破り、初当選を飾った。渕上氏は各種活動や市議会議長などでの知名度に加え、後援会も市内全域に支部を立ち上げるなど、組織的な展開で幅広く浸透。過去最多の5人による大混戦を抜け出した。新市長誕生は、平成22年以来12年ぶり。投票率は67・48%で前回選を6・43ポイント下回り、過去2番目の低さだった。(7面に関連記事)

 

投票率は67・48%

 

今市長選は12月2日(金)の任期満了に伴うもので、昭和27年の市制施行から数えると通算20回目。三陸町との合併後は6回目、東日本大震災後は3回目。3期12年務めた現職・戸田公明氏(73)=猪川町=は、今年8月に

勇退を表明した。
 過去最多の5人が立候補し、告示前の前哨戦段階から注目を集めてきた。一方、コロナ禍では初の市長選。投票は市内40カ所で受け付け、一人一人に筆記用具を渡すなど感染防止策が講じられた。
 開票結果とともに注目された投票率は、67・48%にとどまった。21~26日に市内4カ所で行われた期日前投票の投票者数も5430人と、前回選を5%(267人)下回った。
 開票は、午後8時15分から盛町のリアスホールで行われた。会場には市民らが足を運び、固唾をのんで集計作業などの行方を見守った。
 開票は順調に進み、同9時50分に開票結果が確定。渕上氏は全投票数の38%にあたる7578票を得て、初当選を飾った。
 5月に出馬を表明した渕上氏は、市議時代からの後援会(今野武義会長)組織が広がり、各地区に計10以上の支部を構築。告示前の段階で20事業所超の企業推薦も取り付け、市議は3人が支援。政治団体「沿岸随一の会」(同会長)も街頭活動などで支援した。
 告示日の20日と投票前日の26日に地元の盛町内で行った演説では、いずれも400人前後の支持者が集まるなど、他候補に比べて動員力の高さが際立った。選挙戦の中盤から終盤にかけては追い上げを受けたが、浮動層も手堅くまとめながら抜け出した。
 8年ぶりに挑んだ佐藤氏は8月に表明し、自民党県連や同党大船渡支部が推薦。小中学生の給食費無料化や農林水産業の振興などを訴えたが、浮動層などへの支持に広がりを欠いた。

村上氏は4月に出馬表明し、他陣営に先行した地域回りや具体的な政策発信を生かしながら展開。知人、友人らによる草の根型の運動を貫いたが、当選には届かなかった。
 女性初の立候補者となった鵜浦氏は、10月下旬に表明後、戸田市政の継承などを掲げて急ピッチで後援会組織を構築。市議5人や連合気仙が支援したが、迫り切れなかった。
 鈴木氏は昨年12月にいち早く出馬表明。SNSを生かした発信など独自の展開を続けたが、まとまった支持を得られなかった。
 渕上氏と、20日告示の市議会議員補欠選挙で無投票当選した新人で神職の宮﨑和貴氏(48)=末崎町=への当選証書付与式は、29日(火)午後2時から市役所地階大会議室で行われる。
 【渕上清氏の略歴】
 平成22~令和3年、市議会議員通算4期。同2~3年、同市議会議長。市消防団部長、大船渡青年会議所理事長、市P連会長など歴任。昭和33年6月5日、盛町生まれ。64歳。大船渡高卒。盛町字木町1の6。