陸前高田と名古屋 絆のTシャツ完成 作曲者たなかさんの遺志継ぎ作成 友好の踊り曲関係者着用へ
令和4年11月30日付 7面

東日本大震災を機に交流を続ける陸前高田市と愛知県名古屋市の友好の印として制作された踊り曲を作曲し、今年5月に40代の若さで亡くなった三味線アーティスト・たなかつとむさん=三重県鈴鹿市=の遺志を受け継ぐ絆のTシャツが完成した。「自作のシャツを着て陸前高田でみんなで踊ろう」と決めていた、たなかさんの思いを名古屋の有志がくみ取って作成。踊り曲を共同制作した陸前高田の日本舞踊の踊り手たちにプレゼントし、両市の関係者がたなかさんの思いを共有した。(高橋 信)

たなかつとむさん
たなかさんは名古屋を拠点に活動。陸前高田、名古屋両市の日本舞踊関係者が、昨年制作した『いこまいたかた、あばっせなごや』を作曲し、陸前高田との縁が生まれた。
関係者によると、たなかさんは生前「みんなでオリジナルTシャツを着て陸前高田に行き、一緒に踊ろう」と話していたという。しかし5月に急逝。そこで名古屋の有志が「たなかさんの思いを受け継ごう」と動き出した。
Tシャツを作成したのは、名古屋市緑区に拠点を置く踊り手チーム「鳴海商工会 猩々」。黒色のシャツに、たなかさんをモチーフにしたイラストをあしらい、伝統の技法「鳴海絞り」で仕立てた。
同チームは10月、200万人規模の動員を誇る「名古屋まつり」でTシャツを着て、踊り曲を披露した。
さらに、陸前高田市分として20枚を作成し、同市芸術文化協会(佐々木保伸会長)にプレゼントすることに。今月23日、両市の交流を後押しする名古屋観光コンベンションビューローの千葉斉昭総務グループ長(46)が届けに訪れ、高田町の奇跡の一本松ホールで贈呈式があった。

たなかさんの思いを受け継いで作ったTシャツを着て、名古屋まつりに臨む「鳴海商工会 猩々」
Tシャツを手にした日本舞踊・正派若柳流の若柳扇寿(本名・石川はつ子)さん(74)=竹駒町=は「たなかさんはとても明るい方で、亡くなったと聞き、大変ショックだった。いただいたTシャツはいろんな思いが詰まっている。交流の証しとして大事にしたい」と感謝した。
昨年度、名古屋市からの派遣職員として陸前高田市で1年間勤務した千葉総務グループ長は「たなかさんの熱い思いが猩々に伝わり、Tシャツとして形になった。陸前高田とは対等なパートナーとして今後も交流していきたい」と話した。
名古屋市は震災後、陸前高田市の行政全般を「丸ごと支援」する独自の取り組みを展開し、これまでに延べ250人超の職員を派遣。両市は平成26年10月に友好都市協定を締結した。
令和2年度から市民同士の絆を深めようと、市民交流団の派遣事業も始まり、踊り曲は芸術文化分野の交流の一環で制作された。今回作られたTシャツは陸前高田市の夏の恒例行事「チャオチャオ陸前高田道中おどり」などのイベントで使われる予定。