激動の3期12年に幕 戸田市長退任「職員に感謝」(別写真あり)

▲ 職員が見送る中、花束を手に退庁する戸田市長

 3期12年務めた戸田公明市長(73)=猪川町=が2日、任期満了を迎えた。職員へのあいさつでは東日本大震災の復旧・復興や多様な地域課題解決を振り返り、人口減少下の難局突破に期待を込めた。退庁時には花束が贈られ、職員らの見送りを受ける中、市役所を後にした。渕上清新市長(64)の任期は3日からで、初登庁の5日(月)には職員へのあいさつや記者会見を予定している。(佐藤 壮)

 

 戸田市長は午前8時すぎに市役所に入った。市長室で過ごし、午前10時から職員向けに退任あいさつを行った。
 復旧・復興に向けた着実な事業実施や、国民健康保険財政の健全化など、職員への感謝を込めながら多様な地域課題克服を振り返った。就任当時から掲げていた市民所得の向上にも手ごたえを示した。
 そのうえで「忘れないでほしい」と語りかけ、生産年齢人口が減少する中、税収を確保し、行政サービスを維持するためには市民所得の継続的な向上が求められる点を強調。人口減少に歯止めをかけるには国家的な取り組みが重要とし、国の動きに注目するとともに、必要に応じて強い要望を重ねる必要性を挙げた。
 少子高齢化の進行などで厳しい状況に直面するとしながらも「学ぶべきを学び、考えるべきを考え、知恵と勇気を持って行動する限り、夢と希望あふれる未来が切り開かれると確信している。皆さんの研さんと奮闘を期待している」と力を込めた。
 引き続き、志田努副市長があいさつ。「創造的な復興を目指す市長の陣頭指揮のもと、的確な進行管理が行われ、卓越した識見と先見性、優れたリーダーシップに感謝する。日々のご指導は、職員の市政に対する取り組み意識を大きく変え、それぞれの心に刻まれている」などと述べた。
 午後0時30分の退庁時には、正面玄関前で戸田市長が再びあいさつし、今後の市政運営にエールを送った。花束を受け取ったあと、見送りに立った職員の間を歩き、庁舎を後にした。
 第9代市長の戸田氏は、三陸町吉浜出身。平成18年に大手建設会社を退職して市長選に初出馬し、現職との一騎打ちに敗れた。22年に再び挑み、新人同士の三つどもえを制して初当選を飾った。
 23年の東日本大震災を受け、10年間の市復興計画を策定し、復旧・復興事業を指揮。26年、30年の市長選は、いずれも新人との一騎打ちを制した。2代目の鈴木房之助氏、6代目の臼井勝三氏、8代目の甘竹勝郎氏に続き、10年超にわたり市長を務めた。
 3日から任期に入った渕上新市長は、5日午前8時30分ごろ初登庁の予定。三役会議後、同9時30分の初庁議に臨み、同10時30分から職員向けに就任あいさつを行う。同11時30分には、記者会見も予定している。