震災後初100万人突破へ 本年度の観光入り込み客数見通し 一般質問で当局示す 防災の研修目的などで来訪増
令和4年12月6日付 1面

陸前高田市議会12月定例会は5日、通告に基づく一般質問が行われた。及川修一(無所属)、中野貴徳(翔成)、木村聡(同)、大坪涼子(日本共産党)の4議員が登壇。市当局は同市への本年度観光入り込み客数について東日本大震災後初となる延べ100万人を超える見通しとともに、ポスト復興に向けて「今まで以上に活気とにぎわいを創出していく」と意欲を示した。(高橋 信)
にぎわい創出を取り上げたのは大坪議員。本年度の各種イベントについて振り返り、「活気とにぎわいが戻り、今後のまちづくりの明るい展望を感じることができた」とし、当局の受け止めを尋ねた。
当局によると、同市への本年度観光入り込み客数は10月末現在、前年同期比32%増の延べ約81万3000人。来訪増の要因として、防災・減災のまちづくりを学ぶための視察・見学者の受け入れ体制の構築、スポーツ施設の充実を挙げた。
戸羽太市長は「市民が心から楽しむことのできるイベントや本市を訪れた人たちが満足してもらえる取り組みを実施するとともに、新たなまちづくりの歩みを全国に積極的に発信していくことで、今まで以上に人の流れを促進させ、活気とにぎわいを創出していく」と答えた。
及川議員は、政府が今月16日から運用する「北海道・三陸沖後発地震注意情報」について、「本市の備えや考え方はどうなっているか」と質問した。
同注意情報は日本海溝・千島海溝沿いでマグニチュード(M)7以上の地震が発生した場合、より大きな後発地震への注意を呼びかけるもの。県内は気仙3市町を含む23市町村が対象で、情報発信から1週間、津波や揺れから命を守るための防災対応を呼びかける。
舟波昭一副市長は「過去100年間に情報発信の条件を満たす地震は49回で、頻度はおおむね2年に1回程度。発生確率が低いことから、取り扱いは注意する必要がある」としたうえ、「情報が発信された1週間程度は社会経済活動を継続しながら、平時からの地震への備えの再確認など、できる限りの防災対応をとるよう市民に広報する」と強調した。
中野議員は人口減、少子化に伴う小学校の統廃合について取り上げ、「統廃合の話が出ると、統廃合ありきで話を進めざるを得ないという印象がある」と当局の見解をただした。
山田市雄教育長は「当市では、地域に育ててもらった子どもたちが郷土に誇りを持ち、そのまちの担い手となる歴史を繰り返してきた。コミュニティーの核でもある小学校をこれからどうするのかという議論は子どもの数だけでなく、将来のまちづくりを含めて総合的に考え、児童や未就学児の保護者、地域の人たちと時間をかけて丁寧に話をしていく必要がある」と述べた。
木村議員は、市の重点施策である関係人口戦略に関し、「地域の担い手を増やすための刺激材料としての関係人口をどう捉えているか」と質問した。
戸羽市長は岩手大、立教大による地域課題解決の取り組みや法政大と事業者によるSDGs推進のワークショップなど市内での動きを説明。
そのうえで、「今後も、多様な人材が地域づくりに参画することで関係を深化させていける施策を展開していきたい。地域外の人が地域に入ることで変化を生み出し、さまざまな関わりが刺激となるような、関係人口の創出が理想だ」と答えた。