一般部門で最高賞を獲得 居間ノさんの『おあげんせ!』 いわてマンガ大賞 食や名産品の魅力発信
令和4年12月10日付 7面

県が主催する第12回「いわてマンガ大賞」の審査結果が8日に発表され、一般部門の最高賞となる大賞に、大船渡市の居間ノおくるさん(24)の作品『おあげんせ!』が選ばれた。オリジナルゲームをプレーするきょうだいの姿を通じ、岩手の食や名産品の魅力を発信した作品で、テンポのよいストーリー展開と表現力の高さなどが評価された。表彰式は来年1月15日(日)、盛岡市のアイーナで開かれる。(三浦佳恵)
いわてマンガ大賞は、岩手のマンガ文化の振興とマンガを活用した本県の魅力発信を目的に、平成22年度から展開。盛岡情報ビジネス&デザイン専門学校が共催し、東日本大震災が発生した23年度を除いて毎年行われている。
岩手県を題材とし、4~24㌻の作品にまとめた「一般部門」と、1~4コマ(上限16㌻)の作品による「1~4コマ部門」の2部門で募集。本年度は6月14日~9月20日に募り、国内外から一般部門に37作品、1~4コマ部門に223作品の計260作品が寄せられた。
出版社の漫画編集者による1次審査と、プロの漫画家や編集者、書店員、県などの審査員10人による2次審査を実施。一般部門は大賞をはじめ、優秀賞、学生の部の金賞、銀賞、特別賞を、1~4コマ部門は一般と中学生以下の部に分けて最優秀賞、優秀賞、特別賞を選び、合計20作品が受賞した。
気仙からは、居間ノさんが唯一の受賞。いわてマンガ大賞には過去にも何度か挑戦しており、今回念願の大賞に輝いた。
受賞作『おあげんせ!』は、動画配信者の主人公・赤松さけが、高校生の妹・きり子から高校で開発したゲーム「おあげんせ!」の試作版チェックを依頼され、きょうだいでプレーする物語。ゲームは、空腹の敵に岩手各地の名産品やグルメを振る舞い、満足させていくもので、作中にはサケやサンマ、カキ、前沢牛、もち御膳など、岩手が誇る食の数々が登場。主人公はプレーを通じ、岩手の食の魅力を再発見していく。
審査員は、「スピード感があり、テンポが良い。絵がうまく、料理がとてもおいしそうに描けている」と講評。結果発表を行った達増拓也知事は、「動画配信やゲーム実況という現代的な設定。ゲームの中に岩手の食が次々と出てきて、それがきれいに、おいしそうに描かれている。多くの人に読んでもらいたい」と評価した。
『おあげんせ!』は、マンガサイト・コミックいわてWEB(https://comiciwate.jp/)で公開中。同サイトで居間ノさんは、「岩手県のおいしい食べ物・名産品の魅力を、主人公のさけとともに伝えることができたらいいな、と思いながら制作した」とコメントを寄せている。
受賞作は、来年3月発行予定の『コミックいわて』第12巻にも掲載される。