2023市長選/「輝くまちにする」と決意 佐々木氏(広田町・元農水省職員)出馬会見 表明2人目 競争選挙の見通しに

▲ 市長選への起意を固め、会見に臨む佐々木氏

 任期満了に伴う陸前高田市長選(来年1月29日告示、2月5日投開票)に、新人で元農林水産省職員の佐々木拓氏(59)=広田町=が9日、無所属で立候補する意向を表明した。重点政策に子育て支援や農林水産業の振興などを掲げ、「一人一人が幸せを感じ、輝くまちにする」と決意を述べた。市長選への立候補表明は、現職の戸羽太氏(57)=高田町=に続いて2人目。競争選挙に突入する見通しとなった。(高橋 信)

 

 佐々木氏は広田小、旧広田中、高田高を経て、東京水産大(現・東京海洋大)卒。昭和62年に同省に入省。在ロシア日本大使館一等書記官や石川県農林水産部次長、水産庁九州漁業調整事務所長、同庁漁政部参事官などを歴任。6月から同庁漁業資源情報分析官を務め、今月2日付で退職した。
 陸前高田市内で行われた会見には、佐々木氏に加え、同氏後援会会長の漁業・菅野修一氏(69)、同市議で後援会事務局の菅野広紀氏(61)が臨んだ。
 佐々木氏は「古里を離れて36年間農林水産省などで培ってきた知識、経験、人脈すべてを陸前高田市のこれからの発展のために生かしたいと思い、市長選への出馬を決めた」と述べたうえ、「水産業をはじめ、農林水産業全般をしっかり振興させていきたい」と力を込めた。
 公約には▽給食費無償化▽給付型奨学金制度の創設▽農林水産業の振興▽地域医療の充実と在宅医療拡充▽地域内交通網の構築──などを掲げる。「一番大事なのは人づくり。子育てする親を支援するのはもちろん、親元を離れる子どもたちの学びを支えたり、大学などで学んだ若者が陸前高田に帰ってきて、知識を生かせるような状況をつくりたい」と見据える。
 現・戸羽市政については「情報発信力があり、ふるさと納税の寄付増にもつながっている」などと評価。一方で「今のままでは安心・安全で過ごしやすい明るいまちになるのかなと思っている」と述べた。
 菅野会長は「陸前高田をいいまちにするには、やはり1次産業しかない。農林水産省を出て人脈と経験がある佐々木さんが市長になるのが一番望ましい」と語った。
 佐々木氏は同級生らの声に背中を押され、11月初旬に次期市長選への出馬を決心したという。「市の行政をするに当たっては政党、党派を問わず協力し合うのが重要だ」とし、政党への推薦要請はしない考え。
 後援会は佐々木氏の同級生や漁業関係者らを中心とし、今月6日、政治団体として県選管に届け出た。すでに立ち上げた広田支部を皮切りに、今後、市内全8町に一つずつの支部組織を設け、広田町から市内全域への支持拡大を狙う。
 次期市長選は昭和30年の市制施行以来通算18回目で、震災後としては3回目。
 3期目の現職・戸羽氏は9月、4選を期して立候補を表明。現時点で戸羽、佐々木両氏のほかに、立候補の動きは表面化していない。
 今月1日現在の有権者数は1万5915人(男7674人、女8241人)で、平成31年2月の前回選挙当日有権者数より767人少ない。