誂石橋きょう開通 津波で流失市が復旧 地元の要望受け「ようやく」
令和4年12月18日付 1面


震災前の誂石橋(陸前高田市提供)
東日本大震災の津波で流失し、陸前高田市が復旧を進めてきた気仙川の誂石(あつらいし)橋は、18日午前9時30分ごろ開通する。地元からの要望を受けて復旧した橋りょうで、念願の完成を地域で喜び合おうと、同日は利用開始を前に地元・下矢作地区コミュニティ推進協議会(佐藤信一会長)主催の開通式が行われる。(高橋 信)
誂石橋は矢作、高田両地区を往来する役割を担い、通学路としても利用されてきた。市は地域からの声を受け、平成29年6月、復旧工事に着手した。
新たな橋りょうは高田町と気仙町を結び、旧橋りょうより約130㍍南側に再整備している。
橋長は以前のおよそ2倍の約250㍍で、高さはT・P(東京湾平均海面)約10㍍。歩道は設けないが、震災前の全幅約3㍍から片側1車線の2車線6・5㍍に拡幅し利便性を高める。工事費は約24億9000万円。
当初は、国の第1期復興・創生期間の令和3年3月末までの完成を計画していたが、工法の見直しや他の工事との調整などが求められ、3度工期を延長。年内の完成を目指して進めてきた。
矢作町下矢作地区の中学生がスクールバスなどを利用できる通学支援は開通までの措置としていたが、通学時の安全性確保のため、現時点で本年度末まで継続する。
開通式は現地で午前9時から行われる。テープカットや渡り初めを行い、式典後、一般車両の通行が可能となる。
市建設部の菅野誠部長は「地元からの要望があった中、工期が延びてしまったことは大変申し訳なく思っている。橋りょうは以前よりも広くなり、使いやすくなった。コミュニティー道路などとして地域の方々に利用してもらいたい。インフラの復旧も完了し、今後は適切な維持管理に努めていく」と話している。