2023県議選/現職2氏いずれも出馬へ 大船渡・陸前高田選挙区(定数2) 区割り変更の影響いかに

千葉盛氏

佐々木茂光氏

 来年9月10日の任期満了に伴う県議会議員選挙は、区割りの改定に伴い、気仙はこれまで1人区の大船渡、陸前高田両選挙区が合区となり、2人区として初めて行われる。現職の千葉盛氏(40)=大船渡選挙区・1期、大船渡市猪川町=と、佐々木茂光氏(65)=陸前高田選挙区・3期、陸前高田市気仙町=は、そろって出馬の構え。集票の行方が読みにくい中、両現職の広域的な浸透や新人擁立の動きに加え、同時期実施の知事選との連動の行方などが当面の焦点となる。(佐藤 壮)


 現在、県議会の定数は48人で、任期は来年9月10日まで。議員定数等に関する条例の一部を改正する条例が県議会で可決され、今年7月に公布された。
 現行の16選挙区から14選挙区に改定され、定数48は維持。いずれも定数1の大船渡選挙区(大船渡市)と陸前高田選挙区(陸前高田市、住田町)は、合区で「大船渡・陸前高田選挙区」(定数2)となる。
 4年前の前回県議選は「8月30日告示─9月8日投開票」の日程で実施。投開票は知事選、陸前高田市議選も同日に行われた。
 大船渡選挙区は、市議を辞職して臨んだ新人同士の一騎打ちに。達増県政との連携を協調しながら地域課題解決を訴えた千葉氏が1万1383票を獲得し、3677票差で初当選を飾った。陸前高田選挙区は、佐々木氏が前回選に続き無投票で3選を果たした。
 千葉氏は国会議員秘書を経て、平成24年の市議選に初当選。2期務め、県議に転じた。1期目の現在は第3会派の「いわて新政会」に所属し、達増県政を支える立場で活動してきた。
 9月以降、周囲に再選意思を伝えている。「1期目は内陸部との道路整備などに力を入れ、実現へ一歩前進した。今後も、道路整備や震災復興、水産業振興、病院機能の維持、観光面など自治体の枠を超えた振興を目指す。気仙全体の課題解決を目指し、積極的に挑戦したい」と語る。
 今後、後援会(鈴木祀治会長)を中心に支持固めを進める方針。知事選との連動に関しては「支持者と相談したい」と話す。
 佐々木氏は市議3期を経て、平成19年の県議選では敗れたが、23年は1万票超の得票で一騎打ちを制した。27年と前回は無投票で当選。現在は、第2会派の自由民主党で活動する。
 先月から、関係者に対し、区割りの変更とともに自身の考えを明らかにしてきた。「復興が果たせていない部分や、新たな課題もある。前に進め、暮らしやすいまちに」と語る。
 自身が支部長を務める自民党陸前高田市支部は、党県連に公認申請を予定。後援会(岡本紘一会長)とともに、地区単位での県政報告会開催にも力を入れる。知事選では、今月立候補を表明した元県議・千葉絢子氏(44)を支援する。
 知事選を巡り、4期目の現職・達増拓也氏(58)は、現時点で態度を明らかにしていない。達増氏と距離の近い立憲民主党県連の小沢一郎最高顧問(衆院比例東北)など、周辺からは5選を期待する声も出ており、去就が注目される。
 過去の知事選は達増氏が圧勝してきたが、近年の衆院選、参院選では自民候補の勝利が目立つ。知事選、県議選は同日投票が予想され、連動が鍵となる。
 さらに、気仙は合区となることで、党派の支持動向に加え、出身・在住地から信頼を得る「地域票」も見通しが難しい。当面は、現職両氏の地盤固めに加え、政党支持者や組織団体などによる〝第3の候補〟擁立の動きへの注目が続く。
 今月1日現在の有権者数は、大船渡市が2万9458人(男1万4036人、女1万5422人)、陸前高田市1万5915人(男7674人、女8241人)、住田町が4398人(男2158人、女2240人)。