デジタルで「窓口改革」を 市職員の研究プロジェクト 関係部署と協議進め実現へ
令和4年12月21日付 1面

地域課題解決につながるデジタル技術の活用などを見据えて本年度始動した大船渡市職員によるデジタル創生研究プロジェクト・チームは、市役所内の各種窓口手続きのスムーズ化を図る「おおふなと版窓口改革モデル」の確立を目指している。9月から解決策の検討を進めており、今後は庁内関係部署と協議を深めながら、窓口改革の実現につなげる。(佐藤 壮)
デジタル創生研究プロジェクト・チームは、デジタルの力を活用した社会課題解決を図るため、本年度に市が設置。係長・主任・主事級の職員を中心に22人で構成。インターネットサービスが普及してきた時期以降に生まれた、30代前半以下の職員が多い。
9月20日に第1回の会議を開催。以降、同市デジタル推進アドバイザーを務めるソフトバンク㈱の磯崎靖彦氏から助言を受けるとともに、他自治体の先進事例を研究しながら、グループワークなどを通じて市の課題の洗い出しや解決策を検討。担当課職員にも同席を求めるなどして、実情に合った取り組みを探った。
今月2日に開かれた第6回会議では、「書かない窓口」「行かない窓口」など、これまで3グループに分かれて検討を行ってきたモデル案を発表。
市役所窓口の課題として挙がる「手続きに長時間を要する」「(出生、転入・転出手続きなど)いくつもの窓口を回される」「何度も書類への記入を求められる」の解消に向け、来庁者の記入を最小限に抑える〝書かない〟ワンストップ窓口の導入などを提案。また、多くの住民が活用している通信アプリ・LINE(ライン)との連動に関するアイデアが出された。
チームの班長を務める企画調整課の迎山光課長補佐は「持続可能なまちづくりを進める上で、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が鍵。窓口改革は、当市における行政DXのリーディングプロジェクトとしての位置付け。より生産性の向上を図り、付加価値を高める取り組みに注力できるよう工夫していきたい」と語り、構想実現に向けて力を込めた。
検討結果は、16日に開かれた市行政経営推進会議(会長・渕上清市長)でも報告。さらに、20日の第7回会議では、推進会議での報告結果の共有や今後のプロジェクトの進め方などを確認した。
8回目は来月に開催予定。引き続き窓口改革の実現に向けて取り組むとともに、他分野も含めたDX推進の具体策について調査・研究を進める。
デジタル田園都市国家構想交付金の活用を見据えるほか、県内外の事業所との連携や協働の糸口も探る。これまでの活動は、市ホームページで紹介している。
政府は今年6月に「デジタル田園都市国家構想基本方針」を閣議決定。デジタルの力を活用して▽地方に仕事をつくる▽人の流れをつくる▽結婚・出産・子育ての希望をかなえる▽魅力的な地域をつくる▽地域の特色を生かした分野横断的な支援──などを挙げ、同交付金など地方財政措置の着実な実施も掲げる。
市は本年度、デジタルの力を活用した社会課題解決を見据え、新たに外部アドバイザーを起用。さらなるデジタル活用に向け、部署間の〝縦割り〟にとらわれない取り組みを目指している。