「子育て公約」巡り論戦 市議会12月定例会一般質問 当局の〝検討姿勢〟に追及も

▲ 初日は5議員が登壇した一般質問

 大船渡市議会12月定例会は21日、通告に基づく一般質問が行われ、佐藤優子(光政会)渡辺徹(同)森亨(同)伊藤力也(同)東堅市(新政同友会)の5議員が登壇した。渕上清市長就任後初の一般質問となり、政治姿勢や公約に盛り込んだ子育て施策などが論点に。国の動向や財源確保を挙げながら検討するという当局の姿勢に対し、議員側が具体的な見通しを追及する場面もあった。


 出産祝い金の増額や0歳児からの保育料無料化など市長公約を取り上げたのは、伊藤議員。現在、出産祝い金は第1子1万円、第2子2万円、第3子以降は3万円の地域商品券を支給し、保育料は3~5歳児を無償化している。
 渕上市長は出産祝い金について「政府による出産・子育て応援交付金で、妊娠時、出産時各5万円の支給が予定されている。この交付金や、来年度創設のこども家庭庁における支援策を注視しながら検討する」と答弁。保育料に関し、金野久志保健福祉部長は保育料無料化を0歳児まで拡大した場合、新たに6400万円の財源が必要となる見込みに触れ、国などの動向を注視する姿勢を示した。
 関連質問では小松龍一議員(光政会)が「公約では優先順位が高かったが、今の答弁では、いつになるか分からない」と指摘。より明確な見通しを求めた。
 これに対し、渕上市長は「(出産祝い金は)例えば一気に10万円ということではなく、段階的な引き上げも一つの方法。自主財源確保が最重要。ふるさと納税が大きく伸びるような仕組みも考え、できるだけ早く、きちっとした額などを示したい」と語った。
 渕上市長は市議会議長だった昨年2月、事業収入の大半が市からの業務委託費で占める株式会社の取締役を務めていたことが、兼業禁止を定める地方自治法に抵触するとの指摘を受け、議員辞職に至った。トップ登壇の佐藤議員は「市長を目指すことを表明した時点で、しっかりと説明すべきだった」と迫った。
 答弁で渕上市長は、平成26年の会社創立時から取締役を務め、他の取締役とともに、取締役会での各種事業計画の協議決定、経営状況の把握、アドバイスに関わってきたことに言及。昨年1月の取締役辞職後は、会社との関わりは一切ないと明らかにした。
 そのうえで「全て私の不徳の致すところで、議員辞職が責任の取り方であると決断した。説明不足は全くその通り。反省を踏まえ、市長選を通して、説明を尽くしてきた」と述べた。
 新型コロナウイルスの経済面での対策を取り上げた渡辺議員は、現在実施している宿泊回復事業の実績などを質問。飲食店事業の苦境なども訴えながら、支援策充実を求めた。
 今野勝則商工港湾部長は、今年9月~来年1月を期間とする「泊まってHappy!大作戦」について、助成対象予定1万泊分に対して先月末現在で予約分も含めて9358泊に達している状況を説明。「事業者からも『売り上げの向上につながっている』との声もあり、一定の成果が出ている」と手応えを示した。
 森議員は地場産業振興を巡り、具体的な課題と今後の取り組み方針などを追及。「まずはどこから手をつけるか」とただした。
 渕上市長は「市民所得向上、持続可能な地域づくりへの推進力になり、全市を挙げて取り組むべき」と強調。特に水産業の重要性を掲げ、「現場に出向いて率直な意見を聞き、経過措置が必要なもの、長期的に取り組まなければならないものをしっかりと仕分けをして、具体施策への落とし込みを進めたい。後継者が継いで、次につなげる環境づくりを」と力を込めた。
 東議員は観光資源開発の一環で「水産業の新天地を開拓した先人がいて、その恩恵を受けて今がある。先人の偉業をたたえ、冊子にまとめて活用すべきでは」と提案した。
 今野商工港湾部長は、有志による本の出版や功績をたたえる伝承碑、銅像の各建立などに言及。市内小学校の社会科副読本への掲載をはじめ、学習面での活用実績も示しながら「歴史や著名な方々の魅力を観光資源として生かすことも検討したい」と語った。