2022気仙この一年 記者の取材ノートより① 新型コロナウイルス
令和4年12月22日付 1面

変異株 過去にない猛威
3市町の経済支援策も継続
令和4年も残すところあと10日となった。東日本大震災の発生から11年が経過し、気仙では「ポスト復興」に向けた動きが本格化。一方、依然として新型コロナウイルス感染症の猛威が続き、ロシアによるウクライナ侵攻や円安等による物価の高騰、サンマ、秋サケといった主要魚種の不漁などが、市民生活に影響を及ぼした。こうした中、陸前高田市出身でプロ野球千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手(21)=大船渡高出=による完全試合達成という快挙もあり、人々を元気づけた。この一年の出来事を、記者の取材ノートから振り返る。(文中年齢や肩書などは当時のもの)
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新型コロナウイルスは、国内での感染拡大から3年目を迎えた。県内では、年明けから変異株・オミクロン株が猛威を振るい、第6波が発生。1月23日には県が2度目の「緊急事態宣言」を発出した。2月からは、重症化リスクが低い感染患者らの自宅療養が本格実施された。
同宣言は5月30日に解除されたが、8月にはオミクロン亜系統BA・5の流行で第7波が起き、1カ月間の患者数が3万人余りにのぼるなど、過去にない感染の急拡大となった。いったんは患者数の減少がみられたものの、11月以降は第8波に入り、第7波のピーク時を上回る感染状況が続いている。
今年公表された県内の患者数は、今月21日現在で18万4411人。気仙は5251人で、クラスター(感染者集団)は50件。「With(ウィズ)コロナ」に向け、生活様式や感染対策、陽性者への対応などが見直されてきた1年でもあった。
ワクチンもオミクロン株に対応
感染拡大に伴い、希望者に対するワクチン接種も進んだ。これまでの12歳以上に加え、国は3月から5~11歳、10月からは生後6カ月~4歳の乳幼児も接種対象に拡大。大船渡、陸前高田両市ではすでに乳幼児への接種が始まっている。
同月からは気仙でも、1、2回目を完了した12歳以上を対象に、オミクロン株対応ワクチンの接種がスタート。気仙における同ワクチンの接種状況は、大船渡市(今月17日現在)が41・1%、陸前高田市(同20日現在)が44・1%、住田町(11月30日現在)が31・4%となっている。
消費、観光などの喚起策も展開
コロナ禍で冷え込んだ消費や飲食、観光の回復に向け、気仙3市町では今年もさまざまな経済支援策が展開された。
このうち、消費喚起策では、大船渡市がプレミアム率40%分、陸前高田市が同50%分を加えた商品券を、住田町がプレミアム率100%の「使って応援住田チケット『すみチケ+(プラス)』」を販売。いずれも地元店舗での消費・購入やサービスで利用され、地域経済の活性化に一役買っている。
宿泊・観光の回復に向けては、大船渡市が「大船渡に泊まってHappy!大作戦」、陸前高田市が「たかた旅トク」として宿泊代金の割引やクーポン配布などを実施。国や県の旅行支援と合わせ、多くの利用につなげている。
このほか、大船渡市内46事業者の商品を扱う大船渡商工会議所の「ふるさと応援便」は、贈答品利用などで申し込みが伸びている。住田町は町内事業者の売り上げ回復を目的としたコマーシャル制作・放送の支援に取り組み、4事業者が制作を依頼。町営ケーブルテレビ・住田テレビで放送された。