歌で防災意識高める 大沢桃子さんと日頃市小児童 『命の道』で合唱交流(別写真あり)

▲ 日頃市小児童らと歌声を重ね、防災意識の高揚に願いを込める大沢さん(手前)

 大船渡市赤崎町出身の演歌シンガー・ソングライター、大沢桃子さんは23日、日頃市町の日頃市小学校(菊池ゆかり校長、児童62人)を訪れ、自身が東日本大震災から10年となったタイミングで作詞、作曲した楽曲『命の道』を、全校児童や地元の合唱団とともに合唱した。同校が本年度の防災学習の一環でこの楽曲を歌っていたことから、今回の合同合唱が実現。大沢さんは、地元の子どもたちが歌う姿に目を細めながら、楽曲を通じた防災意識の高揚に願いを込めた。(菅野弘大)


 『命の道』は、過去の津波被害から、三陸の先人たちが教訓として伝え残した「自分の命は自分で守る」という避難行動を促す言葉〝てんでんこ〟を歌詞に使い、命を未来につなげていくため、過去の教訓を後世に伝承し続けることを〝道〟にたとえて制作された。
 楽曲リリース後は、「同曲を合唱曲として歌い広め、世代や地域を超えて『てんでんこ』の教えを残し、今後の災害への備えと防災意識を高め合うきっかけにつなげたい」という大沢さんの強い思いから、「『命の道』つなげるプロジェクト〜防災伝承歌〜」を展開。今年7月には、大沢さんの母校・大船渡高校の生徒が協力し、『命の道 合唱バージョン』が完成した。
 日頃市小では本年度、防災教育の一環で、同曲の合唱に取り組んできた。毎年度実施している避難訓練のほか、震災の月命日に同曲を必ず歌い、児童らが震災の教訓を胸に刻みながら、防災について学びを深めている。
 今回は、同校の取り組みを大沢さんが知ったことから実現。同日は、大船渡さんご合唱団(柳田佳孝団長)のメンバーとともに同校を訪問し、児童らと交流を深めた。
 児童代表の新沼愛琉さん(6年)は「『命の道』を月命日などに歌い、副読本を読んだり、避難訓練や心肺蘇生法を学ぶなどして、災害に備える学習に取り組んできた。みなさんと一緒に曲を歌うのが楽しみ」と歓迎。大沢さんは、曲を作るきっかけや歌詞に込めた思いを伝えながら、「みんながこの曲を歌ってくれていることを知り、会えてうれしい。みんなの力を借りて、この歌に込めた防災の願いを全世界に広めていきたい」と伝えた。
 合唱では、児童らが練習してきた歌声を堂々と披露し、大沢さんや同合唱団とともに、「てんでんこ」と心を重ねた。合唱後は、大沢さんが『ふるさとの春』のほか、『命の道』の日本語と英語バージョンを披露。児童らは、大沢さんからプレゼントされたペンライトを振りながら、演歌の魅力を感じた様子だった。
 村上百世さん(6年)は「(大沢さんは)笑顔がすてきで、古里への思いを感じた。『命の道』は、震災のことを忘れないように、あの日のことを考えながら歌っている。もし災害が起きたら、歌詞にもある『てんでんこ』の意識で逃げ、みんなで命を守ることを大切にしたい」と話していた。