潮堤にトリックアートを まちなかにも作品設置を構想 経済 ・観光関係者ら あす実行委員会設立へ

▲ 防潮堤にトリックアートを施し、誘客拡大を狙う

 大船渡市大船渡町の防潮堤に「トリックアート」を施し、地域活性化の一助にしようというプロジェクトが発足し、同市の経済団体・観光関係者らが26日(月)、実行委員会の設立総会を開くことが決まった。構想段階では、防潮堤のみならず商店街等にも作品を配置することで、訪れた人たちが市街地を回遊できるような仕組みをつくりたいとしており、まちなかへの経済的な波及効果も期待される。(鈴木英里)

 

地元在住のアーティストによる作品イメージ

 トリックアートとは、平面(2次元)のものを立体的(3次元)に描き表した絵のこと。人間の目の錯覚を利用することで、平面のはずの絵が立体的に浮かび上がったり、見る角度によって印象が変わって見える。国内でも各地にトリックアート専門の美術館や見学スポットがあり、観光の目玉となっていることが多い。
 これに着目したのが、大船渡市リアス総合研究所(三浦勝朗代表)。東日本大震災から11年が経過してハード整備事業がほぼ完了し、コロナ禍で地域が経済的に打撃を受ける今、「まちのにぎわい創出の一助にしたい」と、大船渡町内の防潮堤などにトリックアートを施す案を、市内の各種団体に提案した。
 実行委員会設立準備会は今月、市内で開かれ、大船渡商工会議所、大船渡市観光物産協会、㈱キャッセン大船渡などから役員らが出席。全会一致の賛同を得て、実行委員会の設立を決めた。26日に設立総会を開き、会の名称、役員などを決定。市・県・国への要請、企業協賛と、助成金や補助金の申請・活用、周辺事業者やまちづくりに関心のある若者らとの連携などに取り組んでいく構えだ。
 同研究所の地域活性化案によると、茶屋前岸壁からサン・アンドレス公園に至る約1㌔の防潮堤を適度に区切って数十作品の設置を目指すという。
 キャッセン大船渡、おおふなと夢商店街をはじめとする近隣事業所の壁面や、歩道、駐車場などにも絵を施し、〝点〟をつないだ〝面〟でまちなかの魅力を創出。防潮堤から商店街まで人が足を運ぶ仕組みをつくり、消費活動を広げたいとする。
 作品は、防潮堤や壁面に直接描くのではなく、特殊なシートを用いる計画。地元在住のアーティストがすでにイラストを用意しているほか、県内や近郊で美術を学ぶ学生らの作品も取り入れていくことで、若い世代への発信にもつなげたい考えだ。
 同研究会は「各地の観光地との連携や、週末のフリーマーケット、ストリートパフォーマンスの開催、子どもたちが好きなキャラクターとのコラボレーション、夜間のライトアップなど、トリックアートを起点としてさまざまな観光振興が考えられる。実行委員会としていろんな人たちに参画してもらい、また市民一体となって取り組んでいくことで、さらにアイデアも広がると思う。大船渡を訪れないと出合えない『驚き』と『不思議』を提供し、持続可能なまちを創出していきたい」としている。