経験生かし新たな道へ 大船渡町出身の菅野さん プロ野球独立リーグに区切り

▲ 2年間の選手生活などを振り返る菅野さん

 大船渡アスリート応援団公認アスリートで、プロ野球独立リーグ・日本海オセアンリーグの滋賀GOブラックスに所属していた菅野翔平さん(24)=大船渡市大船渡町出身=は昨年、選手としての活動に区切りをつけた。大学卒業後の2年間、NPB入りを目指して鍛錬を続け、厳しい環境下で貴重な経験を重ねた。今後は仙台を拠点とする一方、将来的には指導を通じた古里への貢献も見据える。
 菅野さんは5日、市役所を訪れ、同応援団の事務局を担う市協働まちづくり部の新沼徹部長らと懇談。リーグ所属時の活動や、地域貢献への思いなどを語った。
 菅野さんは大船渡中時代にKボール野球のオール気仙で全国大会に出場。大船渡高を経て宮城教育大に進み、3年秋の仙台六大学リーグ戦では盗塁王に輝いた。一昨年4月から滋賀GOブラックスで活躍を続け、昨季は三塁手としての先発が多かった。
 大船渡高の野球部OBでは、千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手(21)の活躍が光るが、大学卒業後もプロや社会人の第一線で続けるケースはごくわずか。NPB入りを目指していた菅野さんは大学在学中に、独立リーグに進んだ先輩の話を聞き、「足の速さを武器にしながら、さらにレベルアップを」と、進路を固めた。
 入団テストを経て、滋賀GOブラックスの一員となった。俊足巧打の内野手として評価が高かったが、ドラフト入団を目指す選手たちが集まり、アピールし合う世界に、レベルの高さを痛感した。
 それでも、努力を続け、代走での出場から少しずつ活躍の場を広げ、リーグ終盤には三塁手としてレギュラーに定着した。
 昨シーズン戦った日本海オセアンリーグは、富山、石川、福井、滋賀の4チームで構成。約70試合のうち、日帰りの移動が多かったという。過酷な日程の一方、シーズン中は野球に打ち込める環境があった。9月には、NPB交流戦の選抜メンバーにも選ばれ、北海道日本ハムファイターズ(ファーム)との試合に臨んだ。
 2年間を「独立リーグを選ばなければできない経験があった。上を目指し、ハングリーさや常に結果が求められるプレッシャーなど、なかなか味わえない。技術の引き出しだけでなく、メンタルの重要性を感じた。最後の選抜メンバー入りは、NPBのスカウトも来る中での試合だったのでうれしかった」と振り返る。
 NPB入りはかなわず、昨シーズン終了後に引退を決断。将来的には、大学時代に取得した教員免許を生かし、子どもたちの指導にも意欲を見せる。「やりきったという思い。いずれは大船渡、岩手に戻ってきたい。最終的には野球の指導者を考えているが、そこにたどりつくために経験を積みたい」と語り、今後を見据える。