2023市長選/出馬予定の現新2氏 気をもむ感染状況 予防策講じ前哨戦展開 SNSも 積極活用
令和5年1月8日付 1面
任期満了に伴う陸前高田市長選は、29日(日)の告示まであと3週間となった。現時点で立候補を予定しているのは、表明順に、4選を目指す現職・戸羽太氏(58)=高田町、無所属=と、元農林水産省職員の新人・佐々木拓氏(59)=広田町、同=の2人。新年に入り前哨戦が再開した中、両陣営が気をもむのが新型コロナウイルスの感染状況だ。政策を主張する街頭演説の時間を短くする代わりに巡る箇所を増やしたり、会員制交流サイト(SNS)での発信を取り入れるなど、「ウィズコロナ」での支持拡大に腐心している。写真の並びは右から表明順。(高橋 信)
告示まで残り3週間

戸羽太氏

佐々木拓氏
県内では昨年12月の1カ月間に公表された新型ウイルスの新規患者数が4万6878人に上り、月間では過去最多を更新。気仙3市町を管轄する大船渡保健所管内は、これまでで2番目に多い1051人だった。
今月に入り、気仙の新規患者数は1日15人、2日17人、3日34人と推移し、4日が過去最多の111人で初の3桁台を記録。このほか、1日には同保健所管内の高齢者施設でクラスター(感染者集団)発生の報告が2件あった。
戸羽氏は昨年9月の市議会定例会で出馬を表明。街頭活動は1カ所に大人数を集めるのを極力避け、その分、回る場所を増やして政策を訴えている。
現役世代有志の支持者でつくる任意団体「戸羽太を応援する仲間たちU─50」が中心となり、SNSによる情報発信に注力。公約などを載せたチラシは今月に入り、発行ペースを加速させた。
後援会関係者は「活動を通じて感染者を出したり、クラスターが起きたら大変だ。支持拡大に向けて精力的にやるべきことを行うが、感染症予防が前提になる」と強調する。
一方、佐々木氏は昨年12月に農林水産省を退職し、同月、陸前高田市内で記者会見を開き、出馬を表明した。
「地域の声に丁寧に耳を傾けよう」と、地元の広田町を皮切りに、対面でのあいさつ回りに駆け回る傍ら、公式ホームページを開設し、SNSも駆使。ツイッターではミニ集会の告知などを展開している。
後援会事務局は「陣営から感染者が出てしまうと、活動どころでなくなってしまう。危機管理の面からも感染防止策は必須だ。その中で佐々木氏の訴えなどを伝える策を練っていく」と見据える。
コロナ禍の制約がある中での前哨戦が続くが、一方の陣営関係者は「ウィズコロナの観点で、過度に消極的にならずに政策を訴えたい」と話す。「高齢化が進み、ネットを活用した情報発信がどれだけ効果があるか手探りだが、若者への浸透には重要だ。積極的に活用していきたい」と前向きに語った。
市選管によると、今回の市長選は昭和30年の市制施行以来通算18回目で、震災後としては3回目。平成11年から前回までの6回は現職と新人、または新人同士によるいずれも一騎打ちが行われてきた。
昨年12月1日現在の有権者数は、1万5915人(男7674人、女8241人)。前回の選挙当日有権者数より767人少ない。
現時点で戸羽氏、佐々木氏のほかに立候補の動きは表面化していない。