飛躍誓う「二十歳のつどい」 気仙両市(別写真あり)
令和5年1月10日付 1面

気仙両市で8日、令和5年「二十歳のつどい」が開かれた。昨年の改正民法施行で成人年齢が18歳に引き下げられたが、対象年齢を20歳のままで名称を変え、多くの対象者が久しぶりに郷土に戻り、故郷への愛着や誇りを確かめ合う場として開催。東日本大震災発生時、小学2年生だった若者たちは、新型コロナウイルスの感染防止を図りながら、華やかな振り袖や、りりしいスーツ姿で門出を祝い合った。(佐藤 壮、高橋 信、3面に関連記事)
誇りと感謝を胸に 242人出席 笑顔交わす 大船渡
大船渡市の「二十歳のつどい」は、盛町のリアスホールで開かれ、対象320人のうち242人が出席した。
式では、冒頭、成人を迎える前に亡くなった同級生や、震災の犠牲者らに黙とう。渕上清市長は「高い志と柔軟で斬新な創造力をもって、新たな時代の扉を開いてほしい」と式辞。三浦隆市議会議長が祝辞を述べた。
記念品贈呈に続き、実行委員長の森海斗さん(20)=大船渡中出身、東北学院大2年=と、委員の山﨑寧音さん(20)=同、会社員=が「二十歳の誓い」を発表した。
森さんは、東日本大震災の仮設住宅整備に伴い、小学校から中学校にかけては自校の校庭で運動会が開催できず、新型コロナウイルスのため高総体が中止になるなど、我慢を強いられた生活の一端に触れた。一方で「この世代はかわいそうだった、と思ってほしくない」と力を込めた。
その上で「この状況を飲み込み、その中で自分らしさを追求し、成功させてきた強い世代であり、今までと変わらない二十歳。強く生き、二十歳を迎えることができた誇りを持って前に進むことが誓い」と語ると、拍手が鳴り響いた。
昨年の成人式は、感染防止の一環で保護者を含む一般参観はできなかったが、今年は対象者1人につき家族1人まで入場を認めた。
母親が見守る中でつどいに臨んだ古水さやかさん(19)=越喜来中出身、立教大2年=は「帰省した時は温かく迎えてくれるし、援助も受けている。支えがあってこそ、今こうしていられる」と話し、感謝を表した。

旧友との再会を喜び、笑顔の出席者
周囲への感謝胸に 155人が旧友と再会喜ぶ 陸前高田
陸前高田市の「二十歳のつどい」は、高田町の奇跡の一本松ホールで開かれ、対象180人のうち155人が出席した。
震災犠牲者に黙とうし、戸羽太市長が式辞、福田利喜市議会議長が祝辞を述べた。広田町の漁業・小松龍介さん(20)=高田東中出身=と、岩手大2年の菅野陽向さん(20)=第一中出身=が、それぞれ「二十歳の誓い」を発表した。
式典後の記念行事では、恩師からのビデオレター上映などが行われ、出身中学校のクラス別に集合写真を撮影した。
同市の成人式は一昨年、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、新成人の参加を見合わせ、実行委や主催関係者による式典の様子を動画でライブ配信した。昨年は従来通り対面での開催に戻し、今年、成人年齢引き下げに伴い、行事名を変更した。
筑波大2年の熊谷秀人さん(20)=高田東中出身=は「式に臨み、20年間、家族や友人、地域の人に育てていただいたと改めて感謝の思いが募った」と話し、「陸前高田は震災後、多くの支援をもらって発展してきた。国内外への感謝の気持ちを持ち、将来は大学で学んでいることを生かした仕事に就きたい」と抱負を語った。
法政大2年の佐々木美紗さん(20)=第一中出身=は「二十歳となった実感はまだ無いけど、旧友と直接会い、人生の節目を祝うことができてやはりうれしい」と喜んだ。「大学では福祉や環境など幅広い分野を学んでいて、まだ検討中だけど、社会に貢献できるような仕事を目指したい」と誓いを新たにしていた。