過去最高の84㌧に 広田湾産イシカゲ貝 本年度出荷実績

▲ 本年度の出荷数量が過去最高の約84㌧となった広田湾産イシカゲ貝

 陸前高田市の広田湾漁協(砂田光保組合長)は、特産の広田湾産イシカゲ貝の本年度出荷実績をまとめた。数量は前年比21・5㌧増の約84㌧で、過去最高となった。
 本年度は、前年よりも約3週間遅めの昨年7月末に出荷を始めた。計画では6月の開始を見込んでいたが、まひ性貝毒で出荷を自主規制したため、約1カ月半ずれ込んだ。例年8月に需要のピークを迎え、9~10月まで東京・豊洲市場などに送り続けるが、開始時期を遅らせたため、11月中旬まで水揚げを続けた。
 同漁協によると、支所別の数量は気仙が前年比2・4㌧増の約33・2㌧、米崎・小友が同13・9㌧増の約34・8㌧、広田が同5・2㌧増の約16㌧。1㌔当たりの平均単価は、前年並みの3000円の高値で取引された。
 エゾイシカゲガイ(市場名=石垣貝)が本来の名称で、クリーム色のプリプリとした身が濃厚で甘く、高級二枚貝として料亭やすし店などで扱われる。
 同市では平成8年に全国で初めて養殖の事業化を実現。東日本大震災の津波で養殖施設が壊滅し、平成26年に出荷を再開した。
 広田湾漁協は、市などと連携しながらブランド化を推進し、メインの豊洲のほか、関西や中部、東北の市場にも出荷している。昨年2月には、地域ブランドを知的財産として保護する国の「地理的表示(GI)保護制度」に、広田湾産イシカゲ貝として登録した。
 近年の出荷実績は令和3年度約62・5㌧、2年度約32㌧、元年度約43㌧。これまでの最多は平成29年度の約68㌧だった。同漁協は年間100㌧の生産を目指している。
 同漁協気仙支所の合口潤さん(39)は「コロナの影響は前年よりは感じられず、比較的順調に出荷することができて良かった。生産者も安どしていると思う。安定供給が課題で、これからも勝負の年が続く。広田湾産の名を売り出せるよう頑張りたい」と気を引き締める。