特色生かし 活動成果披露 大船渡東高で課題研究発表会 地域活性化などテーマ 各学科3年生が取り組み紹介

▲ 時間をかけて取り組んできた研究の成果を発表する各学科の代表生徒ら

 県立大船渡東高校(千葉久校長、生徒245人)は18日、同校で「課題研究発表会」を開いた。登壇した3年生の代表生徒らが、地域資源の活用や活性化をテーマに、各学科の特色を生かしながら約1年かけて活動を進めてきたプロジェクトの成果を披露。1、2年生がリモートで見守る中、地域に密着して取り組んだ研究の内容を伝えながら、今後の学習のさらなる充実と自分たちが住む地域の魅力を発信する機会にもした。(菅野弘大)

 

 同校では毎年度、3年生が個人、グループで「課題研究授業」に取り組んでいる。各学科の生徒らが、専攻する学びの中で興味、関心のあるテーマを設定し、課題を見つけ、その解決に向けて研究を進めていくもので、年度末に「課題研究発表会」として成果披露の場を設けている。
 令和元年度までは、同校だけでなく、高田高海洋システム科、大船渡高、住田高の生徒も参加して発表会を開いていたが、2年度からは、新型コロナウイルスの影響を考慮し、大船渡東高の3年生のみで継続。約3年ぶりに全校生徒が参加しての開催となった同日は、各学科代表の3年生が登壇し、1、2年生は各教室からリモートで発表を見守った。
 トップバッターの農芸科学科は、「椿の新しい魅力の開拓~もっと身近な特産品を目指して~」と題し、大船渡市の市花であるツバキに着目。椿茶などの商品を扱う同市の㈱バンザイ・ファクトリー(髙橋和良代表取締役)や市役所と連携しながら、椿茶を使ったスープレシピの開発と食用以外の活用法について研究に取り組んだ。考案したスープは、東北地方の高校を対象に開かれたコンテストで入賞するなどの成果を上げ、「今後もツバキの魅力を広く伝えていけるように活動を続けたい」と結んだ。
 機械電気科は、自動車に搭載されているエンジンの分解、組み立てと、バーベキューコンロの製作に取り組んだ過程を紹介。
 情報処理科の生徒は「地域に根ざした企業について」をテーマに、陸前高田市の㈲神田葡萄園(熊谷晃弘社長)への取材を通じて見えた、地域で長年愛される企業経営や商品開発、販売手段の工夫などを説明し、「主力商品を大切にしながら、新商品を提供し続ける姿勢が、長年愛される理由になっているのではないか」などと考察した。
 最後に登壇した食物文化科の研究チームは、気仙地区に伝わる郷土料理の普及などを狙いに、専門家への取材や試作を重ねながら、がんづきとかまもちのアレンジレシピ考案に挑戦した成果を発表。新聞やインターネットの記事でレシピを発信したり、講習会を開いて幅広い世代に郷土料理の魅力を伝え、「自分たちの調理技術を高めながら、郷土料理の伝承に貢献できたと思う」とまとめた。
 千葉校長は「まず何かをやってみることが大切。失敗しても構わない。計画を立てて実行し、『なぜうまくいかなかったか』を考え、次に生かす。このサイクルを実践するうえで、この課題研究はとても有意義な時間だったのではないか」と講評した。
 発表を行った情報処理科の松田奈津美さん(3年)は「1人で一から計画を立てて活動するのは大変だったが、研究の成果を全校の前で発表できて良かった。課題研究で培った計画力や行動力を、将来の生活にも生かしたい」と話していた。