推進・実現へ多様な声 大中、末中統合にかかる説明会 大船渡地区で

▲ さまざまな視点から意見が寄せられた説明会

 大船渡市教育委員会は27日夜、大船渡地区の住民やPTA関係者ら向けに「大船渡中学校と末崎中学校の統合に係る説明会」を開いた。説明では、昨年3月に一部改訂した「小・中学校適正規模・適正配置基本計画」や、同7月に実施した統合に関する保護者アンケート結果などを示した。出席者からは「推進すべき」との声が多数を占め、校名をはじめ統合のあり方で多様な意見が寄せられた。
 学校統合に関する現状を示し、意見を幅広く聞こうと開催。同地区の関係者や小中学生の子どもを持つ保護者ら約30人が出席し、小松伸也教育長や、遠藤和枝学校統合推進室長らが臨んだ。
 市教委側は平成28年度に策定し、昨年3月に一部改訂した同基本計画を説明。令和8年度までを期間とし、両校統合は当初、前期(3年度まで)で「検討・実施時期」と位置付けていたが、改訂では後期も引き続き進める印が新たに付いた。
 昨年7月に実施した統合に関するアンケート結果は、大船渡、末崎の両中学校と大船渡、大船渡北、末崎の各小学校の保護者437人を対象に実施。93・8%に当たる410人から回答があった。
 全体結果をみると「統合した方がよい」は58・8%。「しなくてもよい」は10・7%。「どちらでもよい」は28・3%だった。
 地区別にみると、「統合した方がよい」は大船渡地区(大船渡中、大船渡小、大船渡北小)が59・7%、末崎地区(末崎中、末崎小)は57・1%と、いずれも過半数に。「統合しなくてもよい」は大船渡地区で7・2%、末崎地区で17%。「どちらでもよい」は大船渡地区で31・2%、末崎地区で23・1%だった。
 統合を望む回答者には、時期も尋ねた。最短の選択肢として掲げた「令和6年度」が最も多く、73・6%に達した。大船渡、末崎両地区とも小学校保護者の回答が70%以上で、早期統合を望む意見が占めた。
 説明後の意見交換では「規模や校舎の位置を考えれば、校名は当然『大船渡』ではないか」「本来は、もう統合した状態。校名で統合が進まないのは本末転倒」「未来に向かって進むのであれば、校名にこだわる必要はない」「生徒のことを第一に」「教育委員会主導で進めてほしい」など、多様な声が寄せられた。
 両校とも部活動では活動の存続やチーム編成が難しくなっている状況を挙げ、早期対策を求める出席者も。児童・生徒の個性を伸ばす学校環境の充実や、より大きな枠での統合検討の是非も話題に上った。統合反対の意見は出なかった。
 小松教育長は「たくさんの意見をいただいた。一日も早く統合すべきと考え、さらにその先を見据えた声もあった。何とか早い段階で動いていきたい」とあいさつ。市教委では、末崎地区での説明会開催も調整している。
 両校を巡っては、平成30年度の学校統合合同協議会で「令和3年4月の統合」「統合方式は新設」とする報告書を市教委に提出。しかし、校名などで折り合いがつかず、2年12月の統合推進協議会で「機運が高まるまでは統合を行わない」との結論に至った後、3年度以降は開催されていない。