今月末に意見書提出へ 震災追悼施設懇談会 整備場所〝一本化〟せず 「多様な声」示す形に
令和5年2月8日付 7面

東日本大震災追悼施設の整備方針策定に向けて大船渡市が設けた震災追悼施設懇談会は6日、市役所で開かれた。先月26日以来3回目で、これまでの発言などをもとに意見書をまとめ、今月末に市に提出する方針を確認。整備場所を1カ所に絞り込む内容とはせず、多様な声を集約したものになるという。今年3~4月の方針決定、令和5年度の施工・完成を見据える。(佐藤 壮)
懇談会の委員は、各種団体の推薦者や学識経験者ら14人で構成し、この日は10人が出席。会長を務める岩手大学地域防災研究センターの福留邦洋教授が「これまでも、一つに集約するのは難しいという意見があった。どういうことを示せるのかを考えていきたい。皆さんの強い思いを聞かせてほしい」とあいさつした。
その後の協議は、非公開で進められた。事務局によると、これまでの懇談会で出た意見を踏まえ、出席者一人一人が発言し、今月末に意見書を市に提出する流れについて確認した。
意見書の内容は、委員らのさまざまな思いを示すものとし、「特定の場所が望ましい」といった明示はない見込み。これまでの発言をまとめた「意見集」の意味合いが強いという。
市は昨年12月の第1回懇談会で、整備方針案の概要を示した。整備候補地に関しては、アンケート結果などを踏まえ、大船渡駅周辺などの数カ所が適当としていた。
先月26日は第2回懇談会に先立ち、市が示した大船渡駅周辺などの複数の候補地を視察。実際に歩いて周囲の眺めや移動の利便性を確認したほか、モニュメント・石碑を設置した場合の雰囲気などのイメージを膨らませた。
委員からはこれまで、津波浸水想定域での建設の是非や駅周辺以外での場所の検討を挙げる声が出た。さらに「市民に対して、整備するコンセプトの分かりやすい説明を」「整備後の伝承活動を重視してほしい」などの思いも示されたという。
事務局では「建設的な意見が多く出された。委員の中でも、当初の考えから変わった内容の声も寄せられた」と振り返る。
委員個人間での調整は行われるものの、対面での懇談会開催は今回が最後となる見通し。庁内検討委員会や防災学習ネットワーク運営協議会、市議会での説明、住民からの意見も踏まえ、最終的には市長が整備方針を決める。