完成予定時期 1年延長へ 普金海岸(赤崎町)の防潮堤整備 県による復興事業 永浜、綾里は年度内で完了
令和5年2月9日付 1面

県は7日、東日本大震災津波で被災した防潮堤などの復旧・復興状況を公表した。現在、大船渡市内で令和4年度末完成を目指して進められている復旧・復興事業3カ所のうち、赤崎町の「野々田地区海岸ほか(普金海岸防潮堤)」の完成予定時期が工期の見直しなどから1年間延長されることが明らかになった。同町の「同(永浜地区)」と三陸町綾里の「綾里漁港海岸」の防潮堤は予定通り完成の見込み。県は普金海岸の整備について、一日も早い完成を目指して引き続き進めていくとしている。(三浦佳恵)
県は震災後、被災した防潮堤や道路などの復旧・復興事業を展開。こうした社会資本の復旧・復興状況をまとめ、昨年9月30日現在で公表した「社会資本の復旧・復興ロードマップ」によると、気仙3市町で県が主体となった復興事業90カ所のうち、87カ所で整備が完了。陸前高田市と住田町では、3年度末までに全ての事業を終えた。
残っているのは、大船渡市内の海岸保全施設3事業。いずれも防潮堤や水門、車両などの通行口となる陸こうを整備するもので、今年3月末までの完成予定で工事を進めてきた。
最新の復旧・復興状況は、今月7日に盛岡市の県庁で開かれた復興推進本部会議で報告されたもの。大船渡市内を含め、現在工事が行われている海岸保全施設や漁港など、県内5市町村8カ所の進捗状況を示した。このうち、工期が変更されるのは、普金海岸のみという。
普金海岸の海岸保全施設整備は、赤崎町塩場地内(川口橋付近)から跡浜地内の延長440㍍に高さT・P(東京湾平均海面)7・5㍍の防潮堤、水門1基と陸こう3基を設けるもの。水門など施設の一部は完成している。
これまで、4年度末までの完成を目指していたが、現場周辺の交通状況を踏まえた工程の見直しに加え、昨年8月の豪雨で被害を受けた県外の資材製造工場からの納品が遅れ、工期を1年繰り延べすることが決まった。
県大船渡土木センター復興まちづくり課の菅原透課長は「地域住民や道路利用者の方々には、引き続きご迷惑をおかけする。防潮堤の早期完成に向け、鋭意取り組んでいく」と話している。
永浜地区と綾里漁港海岸の防潮堤整備には遅れがなく、いずれも予定通り来月中には完成の見込みとしている。
県内で5年度も工事が進められる事業は、普金海岸のほか、宮古市の閉伊川水門(県事業、9年3月完成予定)、久慈市の久慈港湾口防波堤(国事業、16年3月完成予定)の3カ所となっている。