激動の3期12年に幕 戸羽市長 最後の登庁
令和5年2月11日付 1面

陸前高田市の戸羽太市長(58)が10日、最後の登庁日を迎え、市役所を後にした。市長に就任した翌月、1000年に1度とされる東日本大震災に遭い、壊滅的な被害を受けたまちで、復旧・復興の陣頭指揮をとってきた。3期12年にわたる激動の戸羽市政は12日(日)に幕を下ろし、13日(月)から佐々木拓新市長(59)による市政がスタートする。(高橋 信)
退任式は午後4時、市役所で開かれ、職員約100人が出席。戸羽市長は「震災があり、皆さんと一緒に復興に向けて一生懸命取り組んできた。最高の仲間と仕事ができたことを誇りに思う。一方で残念なのは、震災でたくさんの職員を失ってしまったことだ」と回顧した。
そのうえで「新しい市長の考え方をしっかりと受け止め、市民のために、新しい陸前高田市をつくっていってほしい。長い間本当にお世話になった。死ぬまで皆さんとの友情は忘れない」と笑顔で感謝の気持ちを伝えた。
同4時30分には職員や大勢の市民が1階市民交流スペースで、戸羽市長を見送った。拍手が響く中、戸羽市長は多くの花束を抱えながら庁舎を去った。
戸羽氏は神奈川県足柄上郡松田町出身。民間企業勤務のあと、平成7年、陸前高田市議選に初当選し、連続3期。19年3月に助役、翌4月から22年12月まで副市長を務めた。
平成23年2月、前市長の故・中里長門氏の後継候補として市長選に初当選。同市では史上最年少の46歳で、6代目となるまちのトップに就いた。
同年3月、震災が発生し、復旧・復興に尽力。昨年11月には高田町の中心市街地に再建した市立博物館が開館し、同年12月の誂石橋完成により、市内における公共インフラの復旧が完了した。
年齢や性別、障害の有無などあらゆる垣根を越え、住みよいまちを目指す「ノーマライゼーションという言葉のいらないまちづくり」を提唱。「市民にやさしい共生社会」の構築に意欲的に取り組んできた。
市長職を10年以上務めたのは、第3代の熊谷喜一郎氏(24年)、第4代の菅野俊吾氏(16年)に続いて3人目。今月5日に投開票された市長選で、新人・佐々木氏との一騎打ちに敗れ、12日に任期満了を迎える。
佐々木新市長は、13日午前8時20分ごろ初登庁の予定。同9時の就任式に臨み、午後には部課長会議を行う。