水道事業6年度一本化へ 上水・簡水を統合 一般会計からの繰入減図る
令和5年2月14日付 1面
大船渡市は令和6年4月に、上水道事業と簡易水道事業を統合する方針を固めた。旧三陸町に整備された簡易水道は、給水効率が低いなど収益確保が難しく、累積欠損金を抱える。市は早期に統合し、一般会計からの適切な繰り入れや将来的な値上げを見据えながら、持続可能な事業運営を進める。5年度中の条例改正や統合後の経営戦略策定などを目指す。(佐藤 壮)
今後の値上げも見据え
旧市内に給水している上水道事業(3年度給水人口2万6636人)は、3年4月に水道料金を平均19・9%値上げする改定を実施。東日本大震災の復旧・復興事業にめどが立ち、6年度中の立根と日頃市両地区での未給水区域解消を目指している。
しかし、両地区は地理的条件などで多くの収益は見込めないという。今後は全域で老朽化した配水管の敷設替えや機械・電気などの更新で、多額の費用が必要となるため、経営は厳しさを増す。
一方、簡易水道(同5285人)は綾里、砂子浜、小石浜、甫嶺、越喜来、本郷、根白の七つあり、昭和30年から旧三陸町内に順次整備。漁港や集落排水の各整備などとともに普及した。
料金は旧三陸町時代の平成10年4月に改正。13年合併時の協定に基づき当分の間は現行通りとしてきたが、25年7月に上水道、簡易水道ともに料金を見直し、負担緩和措置を経て27年4月から同じ料金体系となっている。
簡易水道はいずれも、急峻な中山間地域に点在しているため、料金収入のみでは経営が困難といった構造的な問題を抱える。経営環境は、一般会計からの補助金に頼る状況が続く。
令和2年度に公営企業会計に移行したが、一般会計から国の基準額を上回る2億円程度の繰出金を毎年受け入れても、3年度末で8879万円の累積欠損金があり、今後も経営改善は見込めない。さらに、上水道事業と経営統合しない場合、国庫補助を導入できず、大規模な改修財源確保が難しい状況が続いている。
人口減少も続く中、市は▽上水道単独▽簡易水道単独▽事業統合経営(一般会計などからの繰り入れなし)▽同(繰り入れなし)──の経営シミュレーションを実施。20年後の24年度には、3年度との比較で上水道人口は21・7%、1日当たりの料金徴収の対象となる有収水量は13・2%減少。簡易水道の給水人口は23・5%、有収水量で19・9%下回る。
上水道単独の場合、収益的収支の赤字解消と資金残高維持に向け、10年度に現行比14%増、15年度に同17%増とする料金改定の必要性が生じる。簡易水道は上水道と同様の値上げを行っても毎年5000万円程度の欠損金が出る試算となった。
事業統合を行い、一般会計からの繰り入れがない場合は、8年度に同37%増、13年度には同88%増と大幅改定が必要に。繰り入れを行う場合は、8年度に同13%増、14年度には同33%増とする料金体系が見込まれる試算となった。
繰り入れを行ったうえでの事業統合は、単独経営と比較して料金値上げを前倒ししなければならない状況が生じ、改定率も上昇する。一方、一般会計による市の単独歳出は20年間で17・5億円削減でき、基準外の繰り入れを行わない形での経営が期待できるという。
市は「健全な財政運営を維持し、安全な水を安定的に供給するためには、早期に上水道と簡易水道事業を統合し、一般会計からの適切な繰り入れを行いながら、事業運営することが最善であると判断した」としている。
今年1~2月に、水道事業審議会や市議会全員協議会で方針を説明。いずれも反対意見は出なかった。
市は6、7年度に予定している簡易水道・綾里浄水場の活性炭処理設備新設に係る大型事業に国庫補助を導入したい考え。5年度中の条例改正、統合後の経営戦略策定、事業経営認可変更などの事務手続きを進めることにしている。






