課題解決へ「誠心誠意」 市議会定例会が開会 渕上市長が初の施政方針演述

▲ 新年度市政運営への決意を示す渕上市長

 大船渡市議会定例会は17日、開会した。会期を3月15日(水)までの27日間と決め、初日は渕上清市長が就任後初の施政方針演述を行った。新年度を「市政運営の実質スタート」とし、市民・事業者・地域・行政による協働のもとでのまちづくり推進などを強調。「柔軟な発想と勇気を持って誠心誠意、諸課題の解決に取り組む」と力を込めた。当局は、一般会計に208億9000万円を計上した新年度予算案など議案35件を提出した。
(佐藤 壮)

 

 渕上市長の演述は、1時間余り行われた。新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵攻による原油価格・物価高騰に触れ、市民生活や企業活動への影響長期化を指摘。感染防止とともに、消費喚起や地域経済活性化を進める姿勢を掲げた。
 「未来の三本柱」として▽地元の産業を強く元気に▽若者の活躍でみんな笑顔に▽支え合ってみんな幸せに──を訴えた昨年11月の市長選にも言及。実現への決意に加え、「これまでの行政経営手法を踏襲し、復興の過程で得た数々の実績を礎に、山積する地域課題の克服に鋭意取り組む」と語った。
 新年度予算に関しては、安定的な財政運営を目指し、事務事業の緊急度や優先度を見極めた。市税の収納対策やふるさと納税の促進といった自主事業の確保などに力を入れる方針も示した。
 主要施策は、市総合計画の大綱に沿って説明。「豊かな市民生活を実現する産業の振興」では、厳しい状況にある水産業の課題打破に向け、市内漁協が行う新たな養殖種の導入や実証試験などを支援。漁港整備では、三陸町綾里で雨水排水施設の改修や、漁業集落道整備に関する測量・設計を行う。
 鳥獣被害対策では、有害捕獲に加え、モンキードッグの試行導入を計画。イノシシ被害も確認される中、野生鳥獣による農林業被害の防止対策を強化する。
 「安心が確保されたまちづくりの推進」では、新年度からの第5次男女共同参画行動計画に基づき、多様な市民がジェンダー平等の重要性などについて率直に話し合いながら、新たな取り組みの誘発を図る「男女共同市民会議(仮称)」の開催を見据える。
 子育て支援では、国の方針に沿って一体的な相談支援が可能となるよう「子ども家庭総合支援拠点」の運営を始める。さらに子育て世代包括支援センターの支援機能を統合した「こども家庭センター」の早期設置も検討する。
 「豊かな心を育む人づくりの推進」では、本年度で完了する第一中の改築事業に続き、旧校舎と屋内運動場の解体撤去、グラウンド整備を進める。市民文化会館は空調設備の改修に加え、指定管理者制度の導入に向け、対象業務の範囲や内容などを検討する。
 「潤いに満ちた快適な生活環境の創造」では、県が事業化を進める国道107号白石峠区間の早期実現や大船渡内陸道路(仮称)の高規格化の早期実現に加え、同397号や主要地方道大船渡綾里三陸線、同丸森権現堂線などの改良整備に関しても、引き続き国や県に強く働きかける。
 「やすらぎある安全なまちづくりの推進」では、市地理情報システムによる最大クラスの津波浸水想定を反映させたハザードマップの公開など、ハード、ソフト両面から多重防災型の対策を推進。東日本大震災の追悼施設も整備する。
 「自然豊かな環境の保全と創造」では、温室効果ガス排出量実質ゼロの長期目標に向け、省エネルギー推進や再生可能エネルギー利用促進などの取り組みを展開。下水道事業経営戦略に基づき、経営基盤強化に向け、使用料金設定の検討も進める。
 「新たな時代を切り拓く行政経営の確立」では、活動の軸足をデジタルに移行させた広聴広報を展開。新年度の行政経営計画では分野横断的な取り組みとして、デジタル化やシティプロモーションの各推進などを重点施策に位置付け、職員一丸となった取り組みで活性化や課題解決を図る。
 最後に「私にとって市政運営の実質スタートの年になる。人口減少下においても市民福祉の向上を図るため、市民・事業者・地域・行政がそれぞれの役割を担う協働のもとでまちづくりを推進し、柔軟な勇気と発想を持って誠心誠意、諸課題の解決に取り組む」と締めくくった。
 続いて、小松伸也教育長が所信表明。教育施策の基本方針に「豊かな心を育む人づくりの推進」を挙げ、市長部局が所管する文化・スポーツをはじめとする各種施策との連携を図りながら、学校教育や生涯学習、伝統文化など各分野の施策を積極的に展開する姿勢を掲げ、協力を求めた。
 今後の日程次の通り。
 ▽18~21日=休会▽22日=本会議(議案審議)▽23日~3月1日=休会▽2~3日=一般質問▽4~5日=休会▽6日=一般質問▽7~8日=休会▽9、10日=予算審査特別委員会▽11~14日=休会▽15日=本会議(議案審議)