林業や地域振興に尽力 「杣遊会」(住田町)が受賞 第48回東海社会文化賞 顕彰式で活動たたえる(別写真あり)

▲ 受賞を契機に一層の活動充実を誓う杣遊会メンバー

 福祉や文化、教育、産業などの分野で地道な活動を続けている個人、団体を顕彰する第48回東海社会文化賞(東海社会文化事業基金主催)の顕彰式は18日、大船渡市大船渡町の東海新報社で開かれた。今回は、チェーンソーアートを通じて林業振興や地域活性化に取り組んでいる住田町の「SUMITAチェーンソーアート杣遊会」(佐藤清司会長)が受賞。同会では受賞を契機に、森林・林業のまち・住田のPRへと意欲を新たにした。


 顕彰式には杣遊会の佐藤会長(64)、桑畑学(63)、岩城和彦(62)両副会長、松田英明事務局長(60)が出席。
 式では、同基金代表の鈴木英里東海新報社社長が顕彰の意義や歴史に触れながら、「趣味の域を超え、まちの魅力発信、地域の方たちに住田への誇りを持ってもらう一助や、生きがいづくりにもなっている活動」とたたえた。
 そのうえで、「人口減少、少子高齢化が進む中、地域の魅力を外の人に知ってもらうこともだが、地元に住む子どもたちに古里の素晴らしさに気付いてもらううえでも重要なもの。皆さまの意義深い活動をますます発展させてほしい」と期待を寄せ、佐藤会長らへ気仙スギ製の顕彰状などを手渡した。
 佐藤会長は設立からこれまでの活動を振り返りつつ、「今回の栄誉を励みに、微力ではあるが今後もチェーンソーアートを通して特色ある地域の活性化に取り組んでいきたい」と、さらなる活動充実へ意欲をみせた。
 杣遊会は平成22年5月、「チェーンソーアートで町を元気に」と、住田町内などの林業関係者らが中心となって旗揚げ。総面積の9割を森林が占め「森林・林業日本一のまち」を掲げる同町にあって、地域資源を活用した活性化、豊かな自然や木の素晴らしさを次代へ伝えようとの思いが基になった。
 「杣」はきこりを表す字で、町内ではかつて杣人や杣道という言葉が使われた。会の名称はこの「杣」に、仕事の合間の遊びが発祥ということと遊び心を持とうと「遊」を組み合わせている。
 同会ではこれまで、町内でのチェーンソーアート競技大会の開催、町文化産業まつりをはじめ、気仙管内の各種イベントにおけるチェーンソーアートデモンストレーションなどを行ってきた。
 震災後は、被災した気仙地区内の保育園や小中学校、高校へと作品を寄贈してきたほか、町内に建設された応急仮設住宅3団地への入り口看板設置も担った。また、年の暮れには翌年のえとをモチーフにした作品を制作して管内施設へと寄贈している。
 会員は年々増えており、現在は町内だけでなく県内外で合わせて20人以上となっている。イベント開催時には、賛同者たちが駆けつけて運営に協力。東日本大震災のボランティア参加者も入会するなど、チェーンソーアートを通じて輪が広がっている。
 「森林・林業日本一のまちづくり」を掲げる同町のPRの一翼を担う杣遊会では、町内児童生徒の独自教科「地域創造学」にも協力するなど、学校とも連携しながら、森林環境学習にも寄与している。
 町内に恐竜の作品を設置・展示する「ジュラシックパーク構想」も思い描くほか、チェーンソーアート作品を同町のふるさと納税の返礼品として扱ってもらうことも視野に入れるなど、まちを盛り上げていくために展望を膨らませている。
 東海社会文化賞は、東海新報社創立15周年を記念して昭和48年に創設し、気仙で名利を求めず社会に貢献した陰徳の個人・団体を顕彰するもの。東日本大震災後の平成24、25年は受賞者選考を見合わせたが、26年に再開した。
 受賞者数は今回を含め、通算72個人53団体となった。