2023知事選/5選出馬の意向を表明 現職の達増氏 県議会2月定例会で
令和5年2月23日付 1面

岩手県知事の達増拓也氏(58)は22日、9月10日の任期満了に伴う同知事選に立候補する意向を表明した。同日行われた県議会2月定例会の代表質問の答弁で「次期県知事選挙に立候補する」と明言し、現在策定中の「いわて県民計画(2019~2028)」第2期アクションプランの実現に向けて「県の先頭に立っていきたい」と、5選への意欲を示した。今知事選には、昨年12月に新人の前県議・千葉絢子氏(44)=盛岡市=が出馬を表明しており、現職と新人による競争選挙に突入する見通しとなった。(三浦佳恵)
この日、県議会定例会では代表質問を展開。達増氏は、菅野博典議員(希望いわて)の質問に答弁する形で、出馬への意向を明らかにした。
達増氏は、「第2期アクションプランの最終的な仕上げと、来年度予算案の説明に全力を尽くしているところであり、まずはこのことに集中すべきと考えていた。しかし、本会議代表質問で知事職継続の意思を問われ、明確にすべき時であると思い定めた」と説明した。
そのうえで、「私、達増拓也は先人の成果の上に、県民とともに策定中である第2期アクションプランを自ら主導して実現するため、次期県知事選挙に立候補し、県民の民意を問う決意」と述べた。
菅野議員から5選を決断したきっかけなどを問われた達増氏は、「個人の価値観や生き方が多様化し、生活困窮などの悩み、不安が複雑化する中、住民福祉を増進するためには、より住民に寄り添った行政が求められる」と、地方行政における相談支援の必要性に言及。第2期アクションプランには、こうした相談支援体制の強化や子育て支援の充実などを盛り込んだとし、その実現に意欲を示した。
そして、「県民が本来持っている力を発揮し、困難を乗り越え、希望をかなえられる環境を整備していくため、行政には時代に合った役割を果たすことが求められている。県はその先頭に立って使命を果たしていく。その中で私は、県の先頭に立っていきたい」と5選への決意を込めた。
達増氏は、盛岡市出身で東京大学卒。外務省職員を経て当選した衆院議員4期目の平成19年、知事選に民主党推薦で出馬し、初当選。現在は4期目。
この間、東日本大震災が発生し、被災地の復旧・復興や被災者支援などを進めた。令和元年には、復興推進や幸福を追求できる地域社会の実現などを目指す「いわて県民計画」を策定した。
同年の前回選では、6月に4選を目指して立候補を表明。立憲民主、国民民主、共産、社民の野党4党が推薦する〝統一候補〟として無所属で臨み、自民党と公明党県本部が推薦した新人との一騎打ちを制した。
今知事選を巡っては、達増氏と距離の近い立憲民主党県連の小沢一郎最高顧問(衆院比例東北)らから5選を望む声が出ていた。
しかし、達増氏は昨年末以降の記者会見などで出馬準備に向けた周囲の動きを示唆しながらも、進退については言及を避け続けており、その去就が注目される中での立候補表明となった。
一方、新人の千葉氏は昨年12月に出馬を表明。自民党県連と県議会会派「いわて県民クラブ」が全面的な支援を行う方針を示している。今月12日には、知事選に向けて超党派の政治団体「新しい岩手をつくる会」(会長・工藤勝子県議)が設立され、千葉氏は代表に就任した。
18日には、鈴木俊一財務大臣(衆院岩手2区)が気仙3市町で行った国政報告会に登壇。同会代表として新たな県政に取り組む意欲を示し、気仙での浸透にも力を入れている。
今知事選は、公選が始まった昭和22年から数えて通算20回目。これまで無投票となったのは平成27年の第18回のみで、残りはいずれも競争選。達増氏の出馬表明によって競争選挙の公算が高まる中、今後の動きが注目される。