菅原さん(陸前高田)あっぱれ日本一 第97回国風展(後期)で最高賞受賞 幹の造形美生かした盆栽

▲ 国風賞に輝き、東京都美術館で展示された菅原さんの盆栽

岩手県初の栄誉
30年の手入れ実り喜び一層

 

 国内最高峰の盆栽展「第97回国風盆栽展(後期)」(日本盆栽協会主催)で、陸前高田市米崎町の菅原勝義さん(78)の作品が最高賞の国風賞に選ばれた。出品作は屈曲する幹の造型美などが特色のヒノキ科常緑樹「真柏」を使用し、約30年間手入れをしてきた力作。自身の集大成として同展に13年ぶりに挑戦し、見事日本一の座に輝き、喜びもひとしおだ。本県内で同賞を受賞するのは菅原さんが初めて。(高橋 信)

 

 同展は昭和9年に始まり、国内で最も格調の高い盆栽展。第97回後期は今月15~18日に東京都美術館で催され、入選作140点が展示された。
 国風賞は入選作の中から総合美や盆栽の風格、用いている鉢や卓などを審査し、最高の栄誉として選ばれるもの。菅原さんの作品は、著名な盆栽家からも「日本の真柏盆栽の代表的な作品になる」と評価を受け、展示会場でもひときわ存在感を放った。
 高校時代に学校敷地内に飾られていた鉢植えに興味を持ったのが、盆栽にのめり込んだきっかけ。20歳ごろから始め、ほぼ独学で楽しんできた。

菅原勝義さん

 国風展にはこれまでに3度応募。1度目は落選したが、平成15年に自身の最大の目標としていた入選に選ばれ、初の展示をかなえた。22年に2度目の入選を果たした。
 今作の真柏は、40代の時に購入。幹の太さや推定される樹齢、ねじれを帯びた姿など、優雅さや造形美はコレクションの真柏の中でも突出しており、その分、丁寧に手入れしてきた。人の手では表現できない形に幹がねじれた原木を生かすため、葉性の良い真柏を別に育てて枝接ぎ用に使ったり、針金を使って枝を曲げる工程に時間をかけ、イメージした見栄えに仕上げた。
 「自分が見て楽しめれば十分」と、作品展などには出展せず、自宅での鑑賞用として保管していたが、数年前に家族に勧められ、4度目となる国風展への応募を決意。さらに手入れを徹底し、見事、国風賞を手にした。
 展示会場には妻・文子さん(74)とともに足を運んだ。昨年末に体調を崩して入退院を繰り返したが、今年に入って復調し、約30年手塩にかけて育てた盆栽が日の目を浴びる光景を直接見ることができた。
 「(国風賞を受賞して)やはりうれしい。当初は出そうとも思っていなかったが、応募して良かった」とほほ笑む菅原さん。「仕上がった盆栽を見るだけで心が和む。これからも楽しんでいきたいね」と話す。