芸術家の〝生きた証し〟展示 陸前高田ゆかりの作品 あすまで奇跡の一本松Hで(別写真あり)

▲ 陸前高田出身、ゆかりの芸術家の作品が並ぶ展示会場

 陸前高田市出身、ゆかりの芸術家らの作品を紹介する展示「甦る陸前高田市の芸術文化」は25日、高田町の市民文化会館・奇跡の一本松ホールで始まった。市内外から多くの住民が来場し、同市の芸術文化をけん引してきた芸術家らの〝生きた証し〟から創作や地域への思いを読み取った。27日(月)まで。
 作品展は同ホール指定管理者の㈱共立メンテナンスが主催し、市芸術文化協会と東海新報社が後援。地域住民がふるさとの魅力を感じ取るとともに、芸術への関心を高める機会にしようと企画した。
 展示は同市の画家・熊谷睦男さん(88)が監修。東日本大震災で被災したあと修復された作品や、市内小中学校の所蔵物で、同市の芸術文化振興に尽くしてきた先人、現役作家の洋画・書作品18点を公開している。
 作者は、気仙地方における西洋絵画の先駆者として知られる故・畠山三郎氏(広田町)や、戦後に高田町にアトリエを設けて地域の美術文化発展に寄与した故・白石隆一氏(旧千厩町)、書道結社「三陸書人社」を開設して三陸地域に書文化を広めた故・佐藤氷峰氏など。
 初日は、開場時間から多くの愛好者が来場。かつての市内の浜や学校、海外の風景を題材にした絵画、書作品の優れた筆跡などに目を向けて、長い時を経ても色あせない〝名作〟に見入った。
 熊谷さんは「歴代の作家の作品が並ぶ、今までにない作品展。現代の陸前高田の芸術文化につながるルーツや、こうした文化を受け入れる風土が陸前高田にあるということを来場者のみなさまにも感じてもらいたい」と語る。
 共立メンテナンス陸前高田営業所の須賀佐重喜所長は「初日から多くの人に喜んでいただき、やってよかった。これまで〝埋もれていた作品〟にスポットを当て、高田の誇れるものを多くの人に知ってもらいたい」と話している。
 開場時間は各日午前10時~午後5時(最終日のみ同3時まで)。
 展示作品の作者、作品名、サイズ次の通り。
 ▽畠山三郎=『南国の女性二人』(F80)▽白石隆一=『魚』(M50)、『古川沼』(F50)▽藤川洋三郎=『故郷の浜』(F80)▽吉田定男=『海で働く人』(F80)▽内舘剛男=『廃船』(F30)▽畠山孝一=『岸』(F10)▽佐々木誠志=『蛇ヶ崎』(F15)▽吉田啓一=『浜の風景』(F20)、『高田松原』(M40)
 ▽熊谷睦男=『長部港風景』(P30)、『浜の風景・盛夏』(F100)、『高田尋常高等小学校全景』(M30)、『ノートルダム大聖堂』(M120)▽菊池満=『学校のある風景』(M15)▽宮城秀次=『昭和10年代の小友小学校』(F15)
 ▽佐藤氷峰=『ほのかにもいろづいてゆくこころ』(4・5尺×3・5尺)、『美は日毎未知の萬華に』(全紙)