〝20の壁〟破るには 学校存続へ意見交わす 住田高校魅力化推進会議
令和5年3月2日付 7面

本年度第3回の住田高校魅力化推進会議は2月27日夜、住田町役場町民ホールで開かれた。昨年度策定した「住田高校魅力化構想」のうち、年度ごとに定める重点アクションの実績が示されたほか、生徒確保についても協議。県教委が募集停止の判断要素とする入学者の2年連続20人割れの可能性も浮上している中で、参加者が町内唯一の高校の存続に向け意見を交わした。(清水辰彦)
住田高校魅力化推進会議は、中山間地域の未来を担う人材育成のため、町と同校の連携によって多角的に高校の魅力向上を図ろうと、令和2年度に設置。町や町内各中学校、住田高校の校長ら、PTA、町内団体・企業などを委員、町教委職員や教育コーディネーターを事務局として構成し、一般社団法人・邑サポートが運営委託を受けている。
初年度は魅力化構想に関する意見交換や魅力化に向けたワークショップなどを展開し、3年度に魅力化構想を策定。同構想は「山あいの小さな町から、視座高く視野広く物事を捉え、身の回りの社会に誠実に働きかける人材」を大目標に「自主」「創造」「至誠」「共生」の四つの素養を生徒に身につけてもらうことを掲げている。
同構想に基づいて、本年度からは▽生徒が安心して挑戦できる環境づくり▽多様な出会いの場づくり▽町独自教科・地域創造学の充実▽持続可能な事業の推進──の4項目を柱とするアクションプランに基づいて取り組みを進めている。
同日の会議には、委員や事務局の約20人が出席。はじめに、事務局側が来年度の住田高校入学志願者数や魅力化推進に向けた重点アクションの実績などを報告した。
それによると、同構想重点アクションの一つである「多様な出会いの場づくり」では本年度、同校卒業生や社会人を招いて生徒と語り合う「かたらっせん」や地域に触れる企画「レクデー」、地域イベントに参加する機会の提供や仕組みづくりを推進。生徒のニーズに応じたさまざまな企画が展開された。
報告後は協議に移り、▽もし住田高校がなくなったら▽地域・生徒から望まれる高校とは▽住田高校の意義を広く理解してもらうためには──について意見を出し合った。
5年度の同校入学志願者は2月22日の調整後で定員40人に対して17人(倍率0・43倍)となっており、まだ2次募集が残されているものの、昨年度の19人に続いて20人を割り込む可能性は高い。
県教委による県立高校再編計画では、住田を含めた1学年1学級校について、入学者数が2年連続で20人以下になった場合、原則として翌年度に募集停止し、統合を進めるとしている。
協議ではこの線引きが大きなポイントとなり、出席者は高校存続への危機感を持ちながら議論に臨んだ。
高校がなくなってしまった場合は「若者がいなくなる」「まちの衰退につながる」などの声が寄せられ、「将来、地域に残ってくれる人材を育てる」「部活動が充実」「生徒のニーズに応えられる」といった学校が望まれているとの意見が上がった。
このほか、出席者からは「最終的に進路を決めるのは子ども。子どもたちにも伝わる魅力をしっかりした形で出すことができれば」「住田高校に入って自分自身の価値を見いだせる教育、多様性に対応できる学校にしていければ」など、それぞれの立場からの視点で意見が出された。
協議後、松高正俊教育長は、2月24日に県教委を訪問して要望活動を行ったと報告。そのうえで「今後もいろいろな部分で話をしながら住田高校が継続できるよう要望していきたい」と述べた。