乗車券販売・売店終了へ 綾里、越喜来の観光センター 三鉄駅 に併設 利用減受け今月20日で
令和5年3月4日付 7面

大船渡市観光物産協会(齊藤俊明会長)は、三陸鉄道・綾里駅に併設している綾里物産観光センターと、越喜来の同・三陸駅沿いにある三陸町観光センターでの乗車券・売店販売業務を、20日(月)で終了する。施設利用者の減少を受け、長年不採算が続いていた。両センターでは5日(日)から「売り尽くしセール」を予定している。(佐藤 壮)
あすからセールも

三陸町観光センター
両センターとも、現在は市の施設となっている。綾里駅と三陸駅は、昭和48年に日本国有鉄道の無人駅として開設。昭和59年から三陸鉄道南リアス線の駅となり、三陸町観光センターは当時の三陸町観光協会により昭和60年から、綾里物産センターは同63年から綾里地区直売所運営協会が実施主体となって乗車券・売店販売を始めた。
平成16年に三陸町観光協会は大船渡市観光物産協会に編入合併。同21年から、綾里物産センターも同協会が指定管理者となった。
同23年の東日本大震災で職員を解雇したが、綾里物産センターは同年7月、三陸町観光センターは翌年4月に乗車券・売店販売を再開。両センターではそれぞれ、パート職員3人を雇用していた。
観光センター管理運営事業は、市や三陸鉄道㈱からの受託事業の一環。観光案内や観光情報の発信、物産振興などの拠点としての機能を維持し、三陸鉄道利用促進のため乗車券販売などを行ってきた。売店スペースには食品や生活雑貨、園芸用品、三鉄グッズなどが並ぶほか、乗車待ちなどで利用できるいすなどもある。
いずれも「てくてくマップ」を活用した観光や宿泊情報の紹介に加え、5月には「花苗・野菜市」を開催。駅周辺やトイレの清掃に加え、綾里では松ぼっくりを生かしたリースづくり、三陸では神社の御神札・御幣束などの頒布場所としても親しまれてきた。
一方、施設利用者の減少傾向に伴って売り上げも低調となり、不採算状態が続いていた。職員雇用は震災後、復興支援員制度を活用していた。
協会では当初、制度が終了する令和2年度末での業務撤退を考えていた。三陸鉄道から市への職員継続配置要望を受け、同3~4年度の2年間も協会が受託し、職員配置を維持してきた。
綾里、三陸駅からの乗客は、他の無人駅と同様、車内での乗車券購入などで対応するという。3日に三陸鉄道乗車のため三陸町観光センターを訪れた越喜来在住の80代女性は「週2回ぐらい列車に乗っている。待っている時に暖をとり、職員にも優しくしてもらっていたので、さみしくなる」と話した。
同協会では「これまで両施設を利用いただいた地域住民の方々に感謝を込め、現品限りの値引きセール開催と、31日(金)には業務終了式を執り行いたい」としている。セールは20日まで、午前8時~午後4時に開催。品物が無くなり次第終了となる。