東日本大震災12年/身元特定へ情報提供募る 不明者遺骨から医療機器 県警が情報公開 陸前高田市で発見の女性も
令和5年3月9日付 7面


女性の似顔絵①

女性の似顔絵②
県警察本部(森下元雄本部長)は6日、東日本大震災犠牲者で遺体の身元が特定されていない身元不明者47人のうち、陸前高田市と大槌町で発見された3人の遺骨に、骨の接合手術に使われる金属プレートなどの医療機器があったと公表した。震災発生から12年となるのを前に、身元不明者の特定に向けた大きな手がかりとなり得るもので、県警では「ご遺体の身元特定のため、情報提供をお願いしたい」と呼びかける。(菅野弘大)
県警によると、医療機器が見つかったのは、陸前高田市高田町と大槌町で発見された3人の遺体。骨をつなぐ金属プレートやくぎが確認された。
高田町長砂地内で発見された女性の遺体には、頭蓋骨などの薄い骨の接合手術に使用されるプレート2個があった。生前に頭部の手術を受けたとみられる。年代は50~80代で、身長は143㌢ほど。体格は小肥、やや丸顔、上下総入れ歯、耳たぶが薄く、頭髪は白髪混じり=似顔絵。
大槌町上町の大念寺で見つかった遺体からは、上腕骨の骨折手術で骨折部位を固定するために、上腕骨の肩側から骨髄内に挿入するくぎ1本が発見された。性別、年代ともに不明。
同町の大槌小から消防署付近で見つかった遺体には、手首の骨折手術に使われる接合プレート1個があり、年代は不明だが、DNA型鑑定によると女性の可能性がある。
県復興防災部防災課によると、県内の震災行方不明者数は2月28日現在で1110人。このうち、遺体が発見されながらも身元が分かっていない身元不明者は47人となっている。気仙両市の行方不明者は大船渡市79人、陸前高田市202人で、遺体が見つかっている身元不明者は陸前高田市の7人。
県警では、さまざまな技術を駆使して身元不明者の特定に全力を挙げ、平成26年からは県沿岸部を中心に相談会を開くなどして情報を募っている。本年度はまだ身元不明者の特定、引き渡しに至っておらず、医療機器の情報を公表することとした。
担当する捜査1課検視官室では「身元不明の47人そして、行方不明者1110人をしかるべき場所に帰したい。ささいなことでも情報をお寄せいただきたい」としている。
県警では今月11日(土)、気仙両市で「震災身元不明者等に関する相談会」を開く。当日は午前9時~正午が大船渡警察署、午後1時~4時は同署高田幹部交番が会場となる。身元不明者に関する情報は、県警ホームページでも公開。
情報提供、相談会の問い合わせは県警察本部(℡019・653・0110)へ。