世界一へ 気仙の希望躍動 先発・佐々木朗希 好投 ワールド・ベースボール・クラシック チェコ戦で8奪三振 震災12年の被災地に歓声
令和5年3月12日付 1面

両市でPV 声援しきりに
ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)は11日、1次リーグB組の日本対チェコ戦が東京ドームで行われた。陸前高田市出身で、大船渡高校を出たプロ野球・千葉ロッテマリーンズの佐々木朗希投手(21)が先発し、四回途中まで1失点、8奪三振の好投を見せた。肉親を失った東日本大震災の発生から12年を迎えたこの日、日の丸を背負ってマウンドに立ち、郷里の気仙両市ではパブリックビューイング(PV)が行われた。「頑張れ」「勇気をもらった」。市民らは古里希望の星に画面越しに声援を送り、「12年1日目」へと踏み出す活力に変えた。
初戦の中国戦は岩手県出身で、投打の二刀流・大谷翔平投手、第2戦の韓国戦はダルビッシュ有投手と、日本が世界に誇るメジャーリーガーが先発し、2連勝と勢いに乗る日本。発災12年にも重なった11日の第3戦は、佐々木投手が先発のマウンドに上がり、侍ジャパンのユニホーム姿で躍動した。

奪三振時には「K」の文字が躍った=リアスホール
気仙では、「令和の怪物」の活躍を後押ししようと、大船渡市の「大船渡アスリート応援団」、陸前高田市の「佐々木朗希選手を応援する会」主催のPVが2会場で行われた。両市の市民らが寄せ書きをした応援旗(縦90㌢、横135㌢)をそれぞれ飾り、エールを送った。
大船渡市では盛町のリアスホールを会場とし、約70人が参集。協賛のさいとう製菓㈱などが用意したスティックバルーンを手にし、ストライクを取るごとに打ち鳴らす音が響いたほか、奪三振時は「K」のボードを掲げた。
一方、陸前高田市では高田町の市コミュニティホールで開かれ、約100人が観戦。佐々木投手が小学生時代に所属していた高田野球スポ少の伊藤宗志主将(高田小5年)は「このスポ少から世界で戦える選手が出てすごいと思う。朗希投手のようなすごい選手になれるよう練習を頑張りたい」と目を輝かせた。
応援する会の伊東孝会長(69)=高田町=は「陸前高田出身者が日の丸を背負い、大変誇らしく思う。3・11に登板するというのも不思議な巡り合わせのように思う。素晴らしい投球と勇姿を全国の人に見せつけてほしい」とエールを送った。
佐々木投手は3回2/3を投げ、3四死球、2安打1失点の好投を演じて交代。投球数は66球で、最速は164㌔だった。
震災では父・功太さん(享年37)と祖父母を亡くし、陸前高田市の自宅も被災した。高田小、猪川小、大船渡一中、大船渡高に進み、ドラフト1位で令和2年に千葉ロッテ入団。4年は20試合9勝4敗、防御率2・02の成績で、4月10日のオリックス戦では完全試合を達成した。