16議案可決して閉会 定例会最終本会議 新副町長に小向氏(元助役)選任

▲ 議案16件を可決した最終本会議

小向正悟氏

 住田町議会3月定例会は13日、最終本会議が開かれ、令和5年度各種会計当初予算や人事案件など16議案を可決して閉会した。人事案件では、新副町長に元県職員で、平成13年10月から15年度末まで同町助役を務めた小向正悟氏(64)=盛岡市=を選任することに同意。任期は4月1日から4年間で、平成27年から2期8年にわたって副町長を務めてきた横澤孝氏(65)=世田米=は今月末をもって退任する。(清水辰彦)

 

 可決されたのは、予算審査特別委員会(委員長・阿部祐一議員)に審査を付託した一般会計、国民健康保険、介護保険、後期高齢者医療の各特別会計と、簡易水道、下水道の両事業会計に加え、▽町消防団員の定員、任免、給与、服役等に関する条例の一部改正▽コミュニティバスの設置および運行に関する条例の一部改正、町営住宅の設置および管理に関する条例の一部改正▽4年度町国民健康保険特別会計補正予算▽副町長の選任に関する同意──など計16議案。
 このうち小向氏の副町長選任は、議長をのぞく11議員による無記名投票の結果、全会一致で同意。
 小向氏は盛岡市出身。昭和57年に県採用となり、平成13年10月から15年度末まで住田町助役を務めた。その後、盛岡地方振興局企画総務部特命課長や総合政策部政策推進課政策課長、総務部総合防災室長、沿岸広域振興局長を歴任し、平成30年3月の退職後から現在まで公益財団法人いきいき岩手支援財団理事長を務めている。
 このほか、可決された予算案のうち、4特別会計の総額は17億4485万円で、現年度当初を0・8%上回った。一般会計を含む総額は67億7985万円で、7・1%増となった。
 一般会計の主な歳出をみると、世田米の応急仮設住宅団地跡地に建設した「仕事と学び複合施設」を管理・運営する人材である地域プロジェクトマネージャーと地域おこし協力隊の設置に1653万円、この人材と地域をつなぐ「地域住民等連携サポート業務」委託料に150万円を充てた。同業務の委託先は今後決定する。
 「民俗芸能映像記録制作事業費補助金」には42万円を計上。担い手の高齢化や後継者不足により危機的な状況下にある民俗芸能の保護と活性化のため、町郷土芸能団体連絡協議会が行う映像記録制作の経費を補助する。
 新婚世帯を対象に住居費と引っ越し費用を補助する「結婚新生活支援事業補助金」として160万円を盛り込み、新婚生活の初期投資による経済的負担を軽減して町内定住を促進する。
 DX(デジタル・トランスフォーメーション)の一環としては、口座振替の申し込み手続きを電子化し、町ホームページから24時間申し込み可能とするシステム導入に123万円を充てている。
 賛成、反対の討論はなく、採決の結果、各種予算案はいずれも賛成多数で可決された。
 総務教民常任委員会(委員長・高橋靖議員)に付託された請願「コロナワクチン接種後の死亡や後遺症等の本格的実態調査と対応強化を国へ求める意見書の提出」「子どもたちにおける新型コロナウイルス感染症対策の影響調査を国へ求める意見書の提出」「コロナワクチン後遺症の対応強化を県へ求める意見書の提出」は、いずれも反対多数で不採択とした。
 議会終了後、本年度で退職する幹部職員があいさつに立った。この中で横澤副町長は「東日本大震災直後、復興支援のための予算の専決、議決を快くいただいた。そのことが、今までの住田町の復興支援につながっていると思う」と議会への感謝を述べたうえ、「住民福祉の向上を目指しながら『正しいことは何か』を考えながら務めてきた。住民福祉向上については当局、議員の皆さんも目的は同じ。今後も、ベクトルを一つにして頑張っていただきたい」と語った。