「勝利に導く投球を」 仙台育英2年の仁田投手(大船渡一中出身) 夏の甲子園優勝に貢献 高校野球・春のセンバツ出場へ
令和5年3月17日付 6面

第95回記念選抜高校野球大会(春のセンバツ)は18日(土)、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する。東北地区から出場する仙台育英(宮城県)には、大船渡市立第一中学校出身の投手・仁田陽翔選手(2年)がメンバー入り。昨夏の全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)では2試合に登板し、自己最速の147㌔をマークするなど、東北勢初の優勝に大きく貢献した仁田選手は、「チームを勝利に導けるような投球を」と、2度目の甲子園の舞台に挑む。(菅野弘大)
あす開幕
仁田選手は、猪川小3年の時に猪川野球クラブでプレーを始め、大船渡一中では軟式野球部に所属。投手としての力をつけ、中学3年で球速136㌔を計測し、本県選抜にも選ばれるなど徐々に頭角を現した。
高校は「練習設備と選手自ら考えてプレーするチームのスタイルに引かれた」と仙台育英に入学。「練習の質が高く、常に全員が競い合っている」とレベルの高さを認め、その中でも1年春からベンチ入りし、実戦経験を積みながら左の本格派として腕を磨いた。
武器は最速147㌔を誇るストレート。威力のある真っすぐで打者を押し込む投球を軸に、キレのあるスライダーやカーブ、チェンジアップなどの変化球を織り交ぜ、相手打者に的を絞らせない。
昨年8月の夏の甲子園では、〝投手王国〟とも称された仙台育英投手陣の一角を担い、2回戦の鳥取商業戦、準決勝の聖光学院戦にリリーフ登板。計4イニングを投げ、最速147㌔、3安打5奪三振の力投を見せ、悲願だった〝白河の関越え〟に貢献した。
初の甲子園を振り返り「独特の雰囲気で緊張感もあったが、とても楽しい場所だった。2試合とも点差がついた中での登板だったので、気負うことなく投げることができた」と充実感をにじませた。
夏以降は、先発投手への転向も意識しながら練習を重ね、同11月の明治神宮野球大会では準決勝の大阪桐蔭戦に先発登板。3回3分の1を投げ、3安打4奪三振1失点と、先発の役割を果たした。
この冬はフィジカルトレーニングに重点を置き、下半身の筋力がアップ。直近の練習試合でも好投を見せており、「優勝した時に聞いたBGMが頭に残っている。また甲子園のマウンドに立ちたい」と闘志を燃やす。
優勝後には、地元などから祝福のメッセージがたくさん届いた。大船渡一中時代のコーチである鈴木賢太さん(34)は「身体能力が高く、それが投球にも生かされている。中学最後の年は、コロナ禍で大会が中止となった。苦しんできた分、けがに気をつけ、大舞台で思い切りプレーしてほしい」とエールを送る。
仁田選手は「夏の大会後、『優勝おめでとう』という温かいメッセージをいただいた。地元からの応援が一番うれしい。頻繁に連絡は取れないが、みんなの気持ちに応えられるようなプレーができれば」と活躍を誓う。
また、自身と同じ猪川野球クラブ、大船渡一中出身のプロ野球・千葉ロッテマリーンズ、佐々木朗希投手の存在も大きな刺激になっている。「テレビの試合はあまり見られないけど、投球の動画を見るとやっぱりすごいなと思う。自分も朗希投手のようになりたい」とプロへの思いも口にした。
今大会では背番号11を背負い、活躍が期待される仁田選手。個人目標に「球速150㌔到達」を掲げるが、最優先はチームの勝利。「個人的な目標もあるが、一番は〝夏春連覇〟を達成すること。自分の投球でチームを勝利に導くため、しっかり準備したい」と見据えた。
春のセンバツは、18日から14日間の日程で行われ、各地区(21世紀枠含む)から選抜された36校が出場。仙台育英は大会4日目の21日(火)第3試合(午後2時)で慶應(神奈川県)との初戦に挑む。