気仙の最高値は10㌔1万8千円台 大船渡で養殖ワカメ初入札 全体的に高値のスタート(別写真あり)

▲ 見本品がずらりと並んだ第1回入札会

 今季の第1回県下合同養殖ワカメ入札会は16日、大船渡市大船渡町の県漁連南部支所で開かれた。塩蔵ワカメは約69㌧が上場され、気仙における芯抜き1等の最高値は綾里・前浜の1万8199円(10㌔)。昨年を8%下回ったが、産地別では前年超えが多く、例年よりも高値でのスタートとなった。会場では「品質はいい」といった声が聞かれ、今後の上場数や価格が注目される。(佐藤 壮)

 

今後の生育状況に注目


 この日は、県内外から買い付け業者39社が参加。塩蔵ワカメは広田湾、大船渡市、綾里、吉浜、唐丹町、釜石湾、釜石東部、新おおつち、三陸やまだ、重茂、田老町の各漁協から上場された。
 合計数量は15㌔入りが4578ケースで、68・67㌧。昨年に比べて1・7㌧下回り、今年は宮古市内の各漁業の割合が少なかった。昨年の1回目入札では、気仙の各漁協からの出荷は11㌧だったが、今年は約24㌧に達した。
 ワカメは等級や地区ごとに分けられ、同支所の倉庫内には見本品がズラリと並んだ。入札参加業者らはワカメを手に取り、真剣な目つきで色や品質などを見定めた。
 入札会場に訪れた、国内の加工、販売、流通業者らで構成する三陸ワカメ買受人会の会長を務めるリアス海藻店=釜石市=の平野嘉隆代表取締役(51)は「生育は当初遅れていると聞いていたがだいぶ戻っており、品質も昨年以上に評価できる。ここ数年はコロナ禍の影響を受けてきたが、その中でも各企業が努力をして販路先を開拓している」と話していた。
 入札の結果、芯抜き1等の10㌔価格は、気仙では綾里漁協の前浜が1万8199円で最高値に。昨年は同漁協の野白浜が1万9803円でトップで、1604円(8%)下回った。県内全体では重茂と田老町の1万8800円が最高だった。
 各漁協ごとにみると、野白浜は1万8099円で昨年の価格に届かなかったものの、前浜は前年よりも約2600円上昇。他の漁協分でも前年超えが目立った。
 広田湾漁協のうち、小友・浦浜は1万6999円、小友・只出は1万7119円、広田・南浜は1万7799円、同・北浜は1万7799円となった。前年比で2300~3000円上回った。
 大船渡市漁協では、末崎が1万7799円、赤崎・長崎は1万6999円。吉浜漁協は1万7333円。両漁協は昨年、1回目での上場はなかった。
 中芯を含めた県内全上場品の入札平均価格は、前年よりも2割ほど上回る結果といい、例年よりも高値でのスタートとなった。県漁連の佐々木高常務理事は「入札が先行している宮城の状況を見ても、値段的には期待できる。ワカメは海況に左右されやすいが、今後も順調に量が確保できれば」と期待を込める。
 今後の入札会は、北部支所(宮古市)、南部支所に分かれて開催される。同支所分の次回入札は27日(月)に予定している。例年は、5月まで入札日程が組まれる。