綾里簡易水道 渇水「差し迫った状況」 少雨の影響でダム貯水率3%台に低下 節水協力の呼びかけ強化
令和5年3月18日付 1面

大船渡市の綾里簡易水道が水源とする綾里川ダムの貯水量が3%台にまで低下し、市は17日付で住民向けに文書を出すなど、節水への協力を求めている。降雨がなければ、1週間程度で利水容量を下回り、ダム深層部から水を確保しなければならない。さらに、回復が見込めない場合は、給水車対応も考えられる。近年にない渇水に、市は「差し迫った状況」として警戒を強める。(佐藤 壮)
綾里簡易水道は、三陸町綾里(小石浜、砂子浜除く)と赤崎町合足の各地域で利用され、給水人口は約2100人。県整備の綾里川ダムからの直接取水を生かし、住宅や事業所に供給している。
市によると、綾里川ダムでは、水道水などに利用するための容量27万2000立方㍍のうち、貯水量は1万立方㍍、貯水率は3・7%にまで低下。例年よりも水位が10㍍以上低く、ダム上流側では水底部があらわになっている。
日常的に取水するための放流ゲートは五つあるが、今月上旬から最も低い位置のゲートで確保。合わせて、少しでも水位の低下スピードを遅らせるために周知を始めたが、24日(金)ごろには利水容量の最低水位を下回る見込みとなった。
土砂がたまるダム深層部まで水位が低下しても、浄化措置や水質検査を実施したうえで、最下部の放流口から水供給を継続。水質面での問題はないが、地表や淡水に含まれるマンガン除去処理の強化に伴い、塩素臭や濁りが出る場合があるという。深層部からの取水時は、綾里地区内に仮設水槽を置くことにしている。
その後も降雨がなく、水位が回復しない場合は、5月初旬にも最下部の放流口を下回り、完全に渇水する。この場合は、近隣自治体の協力を得ながら、給水車などによる応援給水といった措置を行うことにしている。
綾里川ダムでは先月以降、少雨の影響で水位が大幅に低下。盛岡地方気象台がまとめた2月の気象データ(速報値)によると、大船渡の雨量は上旬だけみると平年の約1・8倍となったが、下旬は平年の4%にとどまった。
今月上旬も、まとまった降雨がなく推移。ようやく13日に12・5㍉を観測したものの、貯水率が上昇するまでには至らなかった。
もともと、例年この時期は渇水期にあたるが、今年は過去10年をみても最低水準に下がり、深刻な状況に陥っている。雪解け水も期待できず、市は異例の呼びかけを続ける。
具体的な節水方法としては▽洗濯やトイレの水を流す際などには風呂の残り湯を再利用する▽野菜や食器は「ため洗い」する▽洗車の際はバケツを使用する──などを挙げる。
渇水状況を伝える文書配布に加え、ホームページなどで状況を周知する方針。市上下水道部の佐藤悦夫部長は「貯水量が上がるためには、雨が降るのを待つしかない。少しでも貯水量の減少を抑えるよう、節水をお願いしたい」と話している。