設計に込めた思い聞く 復興祈念公園でガイドツアー 震災津波伝承館が企画(別写真あり)
令和5年3月19日付 1面
陸前高田市の東日本大震災津波伝承館による「高田松原津波復興祈念公園ウォーキングガイドツアー」は18日、気仙町の同公園で行われた。3年ぶり2回目となる企画で、市民や観光客らが参加。同公園の設計に携わった㈱内藤廣建築設計事務所(東京都)のチーフ・前川智哉さん(31)を案内役に迎え、参加者らはともに園内を巡って施設の設計に込められた鎮魂や追悼、復興への思いに理解を深め、改めて震災の事実、教訓を伝える大切さも考える機会とした。(三浦佳恵)
伝える大切さも考える
同ツアーは、震災が発生した3月11日に合わせて県が制定した『東日本大震災津波を語り継ぐ日』の関連イベントとして実施。震災から12年を迎えた中で、改めて犠牲者への追悼と復興への願いを込め、防災・減災の意識啓発を図ろうと企画した。
令和2年3月に続く3年ぶりの開催となり、同公園が全面供用をしてからは初めて。午前と午後の2回行われ、このうち午前の部には県内外からの14人が参加した。
出発前には、同公園国営追悼・祈念施設セミナールームで概要説明などが行われ、前川さんは平成27年に始まった同公園の設計に携わり、一時期は市内で生活していたことにも触れながらあいさつ。「公園にたくさんの方々が来ていただいているのを見て、うれしく思う。今回の場で、設計や整備当時に感じていたことなどが皆さんに伝わればと思う」と述べた。
また、公園の図面や写真などを示し、公園整備の目的には、「複数の震災遺構を緩やかに包み込むような公園とし、震災からの復興を願うだけではなく、鎮魂と追悼の場となる神聖な場所と空間をつくりたいとの思いを込めた」と語った。
ツアーに移り、一行は同館と道の駅の間に位置する水盤から海に向かってのびる「祈りの軸」を進み、防潮堤に設けられた「海を望む場」を目指した。
「海を望む場」では、前川さんが「ここは一番造りたかった場所。海を見て、何かを感じてほしいと思っている。ここがあることで、100年後、200年後へと陸前高田市や震災が受け継がれてほしいという思いを込めて造った」と解説。参加者らは海を見つめたり、手を合わせるなどして犠牲者らに心を寄せた。
さらに一行は、震災遺構である奇跡の一本松やタピック45を巡り、この日は特別に同館と道の駅がある施設の2階も見学。前川さんは、施設正面の壁に開いた1万8434個の穴が震災の死者・行方不明者数(平成30年3月11日当時)を表していることも示し、「この数を思うと、心に響くものがあるのではないか」と語った。
この日は、時折みぞれも混じる雨模様の中でのツアーとなったが、参加者らは前川さんの話に耳を傾け、設計の意図や整備に携わった多くの人々の思いも理解。復興祈念公園が末長く人々に親しまれ、追悼の場、震災を伝える存在となるよう期待を寄せた。
高田町から参加した佐々木二久さん(68)は、「ここに住んでいるからには、いろいろ知らないと震災を伝えられないと思っている。今回聞いた話をまわりの人に伝え、いずれ必ず来る自然災害にも備えたい。また機会があれば参加したい」と話していた。






